身長の伸びに影響を与える甲状腺ホルモンについて

甲状腺ホルモンは新陳代謝を促す働きのあるホルモンで、この分泌は身長の伸びにも影響を与えると言われています。この記事ではそんな甲状腺ホルモンについて私なりに考えた事を書いてみます。ご興味のある方は下記「続きを読む」よりどうぞ。

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甲状腺ホルモンの役割について

甲状腺ホルモンは喉の付け根にある甲状腺から分泌されるホルモンです。人間のあらゆる細胞には甲状腺ホルモンを受け取るための受容体があり、実質全ての細胞に作用する重要なホルモンです。特にタンパク質の合成に必要なホルモンであり、その役割は「古くなった細胞を取り除き、細胞を新しく作り変える」という「新陳代謝」の過程をスムーズにする事です。それによって「古い細胞が壊され、新しい細胞に作り変えられる」という過程が効率良く行われ、身長を伸ばす事のみならず、健康の維持に必要不可欠なホルモンと言えるでしょう。

また甲状腺ホルモンを受け取った細胞のエネルギー消費を活性化させ、糖・脂肪・タンパク質など様々な栄養素をエネルギーに変換しやすくする役割もあります。ですので単純に言えば甲状腺ホルモンがしっかり分泌されていれば「基礎代謝」も向上する事になります。子どもでは成長に関係しますが、大人では「基礎代謝が向上する=脂肪が蓄積しにくい=体型の維持が容易」という事です。

尚、同じような役割を持っているホルモンでは「成長ホルモン」の方がよく知られています。この成長ホルモンは脳にある脳下垂体から分泌されるホルモンで、細胞が傷ついた時にその細胞を修復する際に分泌されます。一方、甲状腺ホルモンは顎の付け根(両側)にある甲状腺から分泌されるホルモンで、前述した通り新陳代謝を活性化させ、その細胞の修復過程をスムーズにする働きがあります。よってどちらか一方の分泌が悪くなっても身長の伸びは悪くなってしまうのです。


甲状腺ホルモンの分泌を促すには

甲状腺ホルモンは様々な種類のアミノ酸と「ヨウ素」というミネラルから作られています。ですのでアミノ酸やヨウ素が不足すると甲状腺ホルモンの分泌量が減り、身長の伸びに悪影響を及ぼす事があります。アミノ酸は乳製品、大豆製品、肉、魚、卵に多く含まれており、それらを定期的に食べる事が重要です。

一方、ヨウ素に関しては主に海藻類などの海産物に多く含まれているミネラルです。特に昆布に多く含まれ、その他ではワカメやヒジキ、メカブ、アオサ、その他マダラやイワシ、サバなどの魚類全般にも含まれています。そんなヨウ素は必要量は多くないミネラルであり、島国の日本では比較的摂る機会には恵まれています。しかし現代人では魚や海藻類を食べる習慣が減ってきていると言われており、海産物を食べる習慣がない人では意識的に摂っても損はないでしょう。尚、海産物は全般的に塩分(ナトリウム)が多く、また食物連鎖の過程で蓄積したミネラルも多く含まれているため、食べ過ぎには十分な注意が必要です。同時にカリウムも摂ってナトリウムの排出を促したり、運動をしてよく汗をかくと良いでしょう。ちなみにカリウムは主に大豆製品や芋類に多く含まれています。


甲状腺ホルモンの分泌を悪くする病気について

甲状腺ホルモンは脳にある脳下垂体から分泌される「甲状腺刺激ホルモン」の影響で分泌を促されています。よってそもそも脳下垂体が正常に働いていなければ甲状腺刺激ホルモンの分泌は悪くなり、その影響を受けて甲状腺から分泌される甲状腺ホルモンの分泌量も減る事になります。規則正しい生活をして脳が正常に働くようにしましょう。

そんな甲状腺ホルモンですが分泌を悪くする病気があります。それが、先天的に甲状腺機能が低下する「先天性甲状腺機能低下症(クレチン症)」と、少し後になって症状が出る「後天性甲状腺機能低下症」の2つです。どちらも様々な原因によって甲状腺機能が低下し、それによって甲状腺ホルモンの分泌量が著しく悪くなるのですが、甲状腺機能が後天的に低下するケースはあまりなく「80%が先天的なケース」とされています。日本ではデータにもよりますが、3千人に1人という割合で治療を受けている病気で、男性よりも女性の方が発症する割合は高い傾向にあります。

甲状腺の機能が低下するケースとしては、例えば脳下垂体の機能が何らかの原因で悪かったり、甲状腺そのものがなかったり、あってもその大きさが小さかったり、位置がずれていて上手く働く事ができなかったり、大きさや位置は正常なのにホルモンを作り出す能力が弱かったり、他は全て正常でも細胞の甲状腺を受け取る受容体自体に異常があったりなどが挙げられます。その内、生まれつきのものが「先天性甲状腺機能低下症」、しばらく経ってから起こるものが「後天性甲状腺機能低下症」という訳です。


先天性甲状腺機能低下症(クレチン症)について

甲状腺は「子どもがお母さんのお腹の中にいる間」に母体からの影響を強く受けます。それによって何らかの原因(妊娠中の母親がヨウ素を摂り過ぎたり、不足し過ぎたり、免疫系の病気に罹ったり、強い放射線を受けたり、何かで衝撃を受けたり等)で甲状腺機能が低下すると、子どもに生まれつき「発育不全」が見られる事があります。甲状腺が正常に発達しなかった事で身長はもちろん臓器なども十分な発達ができないまま生まれてくる可能性がある訳です。よってこのクレチン症は生まれてから早急に甲状腺ホルモン投与などの治療が行われる事になります。尚、生まれついての症状としては、例えば黄疸が長く続く、泣き声がかすれる、手足が冷たい、舌が大きい、出臍があるなどがあります。

特に生まれてから2〜3ヶ月という期間における甲状腺機能の低下は、その後の「知能の発達」にも大きな影響を与えると言われています。ですのでほとんどの場合で早期に治療を開始し、早期に治療を終えられるよう努めなければなりません。もちろん治療が成功すればその後の知能の発達にはほとんど影響がなくなりますが、甲状腺ホルモンの分泌異常がその後長期間続くと、精神発達の遅れや知能発達に影響を与える事があります。甲状腺ホルモンは大人でも必要不可欠なホルモンですから、ホルモン分泌の異常が続く限りその治療は続きます。人によっては大人になっても治療を続ける事になります。


後天性甲状腺機能低下症について

生まれた後しばらく経って甲状腺の機能が低下するケースとしては、例えば食習慣による極端なヨウ素の不足、交通事故など突発的な事故による甲状腺の損傷、その他では放射性物質の蓄積や高い放射線を浴びる事等によっても起こります。突発的に起こるようなものでは原因不明とされているものも中にはあります。

ただ、後天的に起こるもののほとんどは「自己免疫性甲状腺炎」と呼ばれる病気によるもので、やはり男性よりも女性の方がかかる可能性が高いと言われています。これについて簡単に説明すると、まず何らかの原因で甲状腺で作られる「チログロブリン」というタンパク質が血中に出現し、自己免疫によってそのチログロブリンに対する抗体を体内で勝手に作り、自分自身の免疫で甲状腺を攻撃してしまうというものです。甲状腺に蓄えられたチログロブリンは甲状腺刺激ホルモンによって分解され、その結果として甲状腺ホルモンとして全身の細胞に行き渡っています。よってチログロブリンが血中に出現するという事は「甲状腺ホルモンの量が減る」という事を意味しており、それが思春期以前や思春期中に起こると身長の伸びにも悪影響を及ぼします。

この自己免疫性甲状腺炎の中には特に思春期以降の女性にかかりやすい「慢性甲状腺炎(橋本病)」や、思春期以前の女性でもかかる事のある「萎縮性自己免疫性甲状腺炎」などがあります。女性の場合、思春期を迎えた時点で女性ホルモンの影響により著しく身長の伸びが悪くなってしまいますから、女性の方が起こりやすい甲状腺ホルモンの分泌異常に関しては特に注意しなければなりません。

尚、そのように後天的に起こる場合、例えば今まで順調に身長が伸びてきた人はその成長速度が急に遅くなります。それがサインになります。その他では代謝異常が起こる事で全身や体のどこかがだるく感じたり、記憶力や集中力の低下などが起こる事もあります。そこですぐに気づく事ができればほとんどの場合で治療によって改善しますが、これらの症状は風邪と誤認する事もあるので注意すべきです。できるだけ早く異変に気づいて治療を開始(内分泌科など)するようにしましょう


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