低身長症の治療を受けるにあたって

ここでは「低身長症の治療を受ける」にあたって、実際どのような流れで治療が受けられるのかについて、私なりに考えた事を書いてみます。ご興味のある方は下記「続きを読む」よりどうぞ。

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★低身長改善の治療を受けるための基準を知る事

低身長の治療を受けるためには「ある程度の基準」を満たす必要があります。こちらの記事「低身長症の基準と成長曲線(あくまで参考程度)」にある表を参考に、子どもがその基準を満たしているかどうか、あるいは基準を満たしていなくても家族の協力だけで改善できそうなのか判断をしましょう。低身長症の治療は早ければ早いほど効果が高いため、「悩むよりも前に行動へ移す=病院で相談をしてみる」事が重要です。子どもが小さい内にあらかじめ病院を調べておくのも大切です。


★低身長の治療を受ける事ができる病院

病院で治療を受ける際には成長ホルモンや甲状腺ホルモン関係の治療になりますので、小児内分泌科や内分泌内科などの診療科がある病院に行く事になります。まずは小さな病院の小児科や内科を受診し、そこから大きい病院へ紹介してもらいましょう。最初から大きな病院に行くと余分にお金を取られる上、紹介状がないとまともに診てもらえない可能性の方が高いです。もし大きな病院での治療を断られた場合でも、諦めずに多少遠くても別の病院を探しましょう。満足の行く対応が受けられるまで探し続けましょう。

もう一つ、何故大きな病院が必要かというと、場合によっては「MRI撮影(後述)」などを行うのでそれなりの設備がある病院を選ぶ必要がある(足が曲がっていたり、片方の足が短い場合など、特定のケースの場合では外科的な手術による治療が必要になる場合もあるため)からです。ただし大きな病院だからと言って必ず治療が受けられるとは限りません。大きな病院だと尚更治療を受けるための基準が厳しくなり、「専門の医者と設備の両方が揃わなければ満足に治療も受けられない」事が多いという事は常に頭に入れておくべきです。低身長の治療は長期に渡るため成長に合わせて薬の量を調節します。それが非常に難しいのです。成長ホルモンはその量が少なすぎても効果が無いですし、多すぎると副作用も出ますし「本人の生まれ持った力」を引き出せませんからね。

尚、そうして相性の良い病院や医者を選んでいくには、それだけでも結構お金がかかりません。前述のように大きな病院で治療を受けるためにはその度に紹介状や交通費が必要だからです。よって病院や医者選びは慎重にもなるべきです。最終手段ではありますが、医療費控除や補助などが受けられないような病院で治療を受けるのも一つの手です。ただし中には高額な治療費を請求するような悪徳な病院や医者もいるので注意が必要です。


★低身長症の実際の検査方法について

●問診
まずは先生に母子手帳など成長過程の記録を見せる事が必要になります。おそらく日常的な運動、睡眠、食事などの習慣も聞かれますので、お子さんが生まれた時から日記のようにメモしておくと良いと思います。万が一子どもの成長が悪くなった時、その積み重ねが役に立ちます。子どもをよく観察しましょう。

●早朝における尿の検査
成長ホルモンは夜間(睡眠中)に最も多く分泌されます。ですので実は早朝の尿には成長ホルモンが出ているのです。その量を調べる事で分泌が適切に行われているかどうかを調べる事ができます。病的に少ない場合には治療を受けるための指標になります。

●血中のソマトメジンの濃度を調べる
成長ホルモンが分泌されると過剰に分泌されないよう、その分泌を抑えるソマトスタチンというホルモンが分泌されます。ソマトメジンはそのソマトスタチンの分泌を促すホルモンであり、成長ホルモンが正常に分泌されていればその量に比例して分泌量が多くなるはずです。よって「ソマトメジンが少ない」=成長ホルモンの分泌量も少ないという事なのですが、逆に多くても成長ホルモンの分泌が抑制され過ぎてしまうので、どちらも治療を受けるための指標になります。
尚、他のホルモンでは甲状腺ホルモンの分泌が悪い場合にも身長の伸びが悪くなる事があり、治療を受ける際にはおそらく甲状腺ホルモンの量も合わせて調べる事になるでしょう。逆に言えばそれを調べる事ができるような医者・病院選びが必要だという事です。

●骨のレントゲン撮影
単にレントゲンで骨を撮影するだけではなく、骨年齢や骨密度なども合わせて調べます。何らかの原因(骨自体に原因があるのか、それともホルモン分泌に原因があるのか等)で骨の形成が悪い場合、成長期にも関わらず骨密度が低下する事があるからです。もし正常な骨ではない可能性がある場合には治療を受けるための指標になります。

●脳内のCTまたはMRI撮影
身長の伸びに関わる成長ホルモンや甲状腺ホルモンは、それが分泌される脳下垂体(甲状腺ホルモンを分泌する甲状腺を刺激するのが脳下垂体)にできる腫瘍や損傷が関係している事もあります。脳内の腫瘍は通常のレントゲンでは写らないため、CTまたはMRIで脳内を撮影します。脳下垂体に小さな腫瘍があっても人によっては何の見た目の変化もない事がありますが、一方で身長が2m以上まで伸びたり、逆に身長が1mに満たないような大きな変化を与える場合もあります。最悪の場合では腫瘍がガン化して巨大化し、命に関わる事もあります。もちろんそれはできる場所や大きさにもよりますし、症状が出ない人もいるので本当に人それぞれです。なので仮に小さな腫瘍があっても決して将来を悲観する必要はありません。

ちなみに通常のレントゲンはX線を正面から当てたもの、CTはレントゲンと同じX線ですがコマ送りのように断面で3D撮影できます。MRIは磁気による撮影になり、時間はかかりますが水分の多い部位ではCTよりも威力を発揮します。小さな病院でもレントゲンはありますが、CTやMRIは大抵大きな病院にしかないので、検査を受ける場合にはそれなりの設備がある病院へ行かなければなりません。これが慎重な病院選びが必要な理由です。

●成長ホルモン分泌負荷検査
成長ホルモンの分泌が悪い場合には「薬を使用し、あえて成長ホルモン分泌されやすい状態にする」事で、成長ホルモンの分泌状態を調べる事も必要になります。刺激に関係なく分泌されない状態なのか、刺激があれば分泌される状態なのか、刺激があっても分泌されない状態なのかによって薬の種類や量などが変わってきます。

●検査入院が必要な場合もある
病院によっては検査のために入院が必要な場合もあります。後述しますが例え自宅での注射による治療であっても、治療期間は数年単位の長期間に渡る事が多いです。あらかじめ「生活習慣に不自由が出る可能性がある」という事を前提として考え、覚悟して治療に望むべきでしょう。


★実際に行われる低身長症の治療について

成長ホルモンの分泌が悪くなっていてそれを治療する場合、注射がメインになると思います。例えばプロサッカー選手のリオネル・メッシ選手なんかもこの治療を受けています。これは在宅時に注射が可能で、お腹などの皮下に自分で打つまたは家族に打ってもらう事で治療ができます。尚、甲状腺ホルモンの分泌が悪い場合には飲み薬による処方になるようです。

注射は一般的に毎日寝る前に打つ事になります。何故寝る前なのかというと、これは睡眠中に成長ホルモンの分泌が行われるからです。打つ場所はお尻、太もも、二の腕などですね。同じ場所に打たないように注意しながら毎日場所を少しずつ変えて打ちます。数年程度で改善が見られる場合には途中に治療を完了できますが、最長では「身長の伸びが終わる年齢まで」という非常に長い期間での治療となり、注射だけとは言え、お子さんにとっては長い戦いになります。

治療費はどのような治療法でも高額になるため、ほとんどの人が補助や控除を受けながら治療を続ける事になるでしょう。ただし治療を続けた事によって改善が見られる場合には医療費の補助が切られるため、ほとんどの人が自動的に治療を止めざるを得なくます。この基準は我々が想像する以上に冷たく、治療は永遠に続ける事ができる訳ではありません。もちろんお金があるのであれば、補助がなくなった後でも治療を続けられるような別の病院に移る事も一つの手です。

一方、腫瘍の巨大化等によるホルモン分泌の異常などに関しては手術適用になる事がありますが、脳の中の手術になるため、非常に高度な技術が必要になります。もちろん前述の通り小さい場合や良性の場合には手術が必要ない事もあるため、その場合には通常のホルモン投与などによる治療になるかと思います。場合によっては大人になってから気づく事もあり、悪性の場合は周囲の神経を圧迫しているなどが見られる場合には手術が必要になります。他、特に低身長は先天的に起こる染色体の異常や骨・軟骨の異常などによっても起こります。ですのでそれぞれの病気によって治療法は変わりますし、他の先天的な症状や病気等によって身長に関する治療を受ける事ができるか否かの判断も大きく異なります。


★長期間治療を続けるにあたって

成長ホルモンの皮下注射による治療の場合、自宅で治療できるとは言え、長期にわたって注射を打たなければならず、それが大きなストレスになる事があります。長い人では身長の伸びが止まる年齢まで続けますからね。ストレスは成長ホルモンの分泌を悪くする要素の一つであり、治療を受けるお子さんのストレスコントロールは治療の効率を高める上で非常に重要になります。

また成長ホルモンは睡眠や運動、食事などによってもその分泌量が変わるため、ホルモン投与だけでは改善されない事があります。注射するだけではなく規則正しい生活を心がけ、生活習慣全体の改善が必要です。治療を受けるだけで満足しないようにしましょう。他、成長ホルモンの分泌量が増える事では、足の骨の成長痛の他、全身にも痛みや倦怠感が出たりする場合があります。これは成長ホルモンが骨だけでなく全身の細胞へ作用するホルモンだからです。そういった部分の配慮も必要になりますので、やはり家族による全面的なサポートが必要になるでしょう。


★治療にかかる費用について

単に「成長ホルモンの分泌が悪い可能性がある」場合には保険適用を受けられない事の方が多い、という事はよく知っておくべきだと思います。特に「確かに身長の伸びは悪いが低身長症とまでは言えない」場合ですね。病院によっては全て保険適用外の高額な治療費を求められる場合もあるので注意が必要です。治療費の補助なしでどうしても治療を受けたい場合、最低でも月10万円以上、年間100万円以上(病院によって異なるため、もっとお金がかかるという事を前提に考えるべき)は覚悟しておいた方が良いでしょう。ちなみに病院によっては大人でも受けられますが残念ながらほとんど身長は伸びません。大人で利用する場合には主に美容やトレーニングでの目的になります。

補助を受けられる代表的な制度では「小児慢性特定疾病医療費助成制度」という制度があり、例えばターナー症候群、プラダー・ウィリー症候群など、一部の病気が関係している場合に限ってはこういった医療費の補助を受けられる場合もあります。ただしその判定には時間がかかり、後で余分に払った分が戻ってくるという形(しかも全額免除ではない)のため、判定を受けるまでは何とかして治療費を払わなければなりません。またその治療法で改善が見られない場合や、治療が功を奏して劇的な改善が見られる場合にも補助が打ち切られます。ですので治っても治らなくてもいずれ補助はなくなるため、制度の仕組みを理解し上手く利用する必要がありそうです。

加えて一月の治療費が高額になる場合には「高額療養費制度」という健康保険による補助を受ける事ができ、更に自己負担額は減らせます。私の母親での経験ですがこれも手元にお金が戻るまで時間がかかります。またこれも完全な「全額免除」とまでは行きません。他では私の経験ですが、入院をした時に都民共済に入っていてほぼ全額(10万円程度ですが)が戻ってきた事があります。生命保険によっては更に大きな額の補助を受けられる場合もあるので、前もって検討(加入期間が必要な場合があり、早めに加入しておく必要がある。ただし低身長の治療で適用できるかどうかは不明)してみるのも良いでしょう。お子様の治療が功を奏すよう健闘を祈ります。


参考記事一覧

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