床に座るのではなく、椅子に座る習慣を身につけよう

この記事では特に「床に長時間座り続ける事によるデメリット」について私なりに考えた事を書いてみます。長文ですがご興味のある方は下記「続きを読む」よりどうぞ。

あぐら.jpg

★当記事の目次

ここでは当記事内の章をリスト化しています。クリックする事で直接その場所へ飛ぶ事ができます。また戻りたい場合には各章の一番下にある「当記事の目次まで戻る」をクリックする事で再びこの場所に戻ってくる事ができます。



日本の「床に座る文化」について考える

アジアの国々では、現代でも直に「床」へ座って生活をする習慣が根強く残っており、当の我々日本人も、古くから床に座る習慣を続けてきた国の一つです。

特に日本における「床に座る文化」では、和室にある「畳(たたみ)」が大きく関係していると思われます。最初に畳の原型が登場したのは西暦700年前後(それ以前にも存在した可能性はある)と言われており、その頃はまだ「和室」のように部屋全体に畳を敷き詰めていた訳ではなく、自分の座る場所にだけ畳のような木の板を敷いていたそうです。この畳の面積を広くしていくにつれ、「座る場所」が広くなっていき、それが最終的に現在で言う畳張りの「和室」に繋がったと思われます。また例えば現在でも、畳の上には裸足で直接座るのが当たり前ですが、これも元々畳が「立つ場所」ではなく「座るための場所」だったからです。日本人はその頃からずっと床に座る生活を続けてきた訳です。

和室.jpgそうして畳の面積が広くなって和室が定着すると、それは日本の文化でもある「正座」の定着にも繋がっていきます。更に畳の上、及び畳張りの部屋で長時間生活をするようになると、「和室全体の景観」も大切にするようになります。これにより「和室に合わないもの」はできるだけ身の周りに置かないようになっていきます。

また日本は島国で海に囲まれているので、そもそも他国から文化が流入する機会が少なく、そのような生活環境を変えるきっかけが少なかったので、和室、及び和室に対する扱いが変化する事がありませんでした。更に伝統を重んじるあまり、船や飛行機などで自由に行き来できるほどに時代が進んでからも、他国の文化を「日本人には合わない」「けしからん」として受け入れようとしませんでした。まぁ畳の上に、例えば洋風の大きな椅子や机を置くとなれば、何となく違和感があるのは私でも分かります。しかし日本人は保守的で、和室や畳、そしてそこに座って家族で団欒し食事をする・・・という伝統を頑なに守ろうとしたため、「床に座る」という習慣を中々変える事ができませんでした。

尚、和室、畳、床に座るという生活習慣が大きく変わり始めたのは、第二次世界大戦で日本が敗戦した後、日本人の考え方が柔軟になり、他国の文化を受け入れる「下地」ができてからです。それ以降では時代の流れと共に家の景観が大きく変化し、和室が減り、逆に大きな部屋(フローリング)が増えた事で、部屋に洋風の家具を置く事ができるようになり、それによって大きな椅子に座って大きな机で食事をするなど、「床に長時間座らない生活習慣」が増えていきました。

個人的には、そうして生活環境に多様性が生まれた事は非常に良い事だと思っています。ただ、その変化が起きたのはここ数十年、椅子に座った生活をするようになったのはついここ最近の事であり、それまで長く積み重ねてきた「床に座る文化」は、現在でも日本人の身体的特徴として見る事ができます。ここからはそれについて書いています。



床に長時間座り続ける習慣はあまり足に良くない

例えば「胡座(あぐら)をかく」という座り方の場合、座っている様子を正面から見た時、スネの骨に対して左右から大きな力が加わります。このため胡座をかく習慣があると、成長過程において、スネの骨が外側に湾曲していく事があります。更に長時間同じ姿勢で胡座をかき、背中が丸くなれば腰にも良くありません。

また「正座」という座り方では、スネの骨に対して前後から大きな力が加わる事となり、スネの骨を横から見て前へ膨れるように湾曲していく事があります。特にこの時には自分が体重がかかるため、骨にかかる力は胡座をかいた時よりも大きく、しかも膝の関節も過度に曲がる事になり、その積み重ねによる影響は大きいです。更に正座をした時の足の甲の向き、特に両くるぶしが付かずに爪先だけを揃える事によっては、スネの骨に対して外側へ曲がる力も加わります。このため胡座と同じように、スネの骨を正面から見て外側に曲がっていきます。

この他、いわゆる「体育座り」。この座り方を長時間する事では背中が曲がり、腰に良くないと言われています。またいわゆる「女の子座り(アヒル座り:上から見た時に足がM字のようになる)」。これは膝の内側と股関節に大きなストレスがかかり、関節に良くなく、特に後述のX脚の原因になる事があります。

少し大げさと思われるかもしれません。もちろん一日二日程度そのような時間があってもさほど問題はありません。しかしそのような座り方を1日長時間続け、かつそれを毎日毎週毎月・・・毎年続ける事では、それが骨にストレスとして蓄積され、成長過程で自分が気づかぬ内に骨が曲がっていく事があります。特に膝から下のスネの骨が外側に曲がってしまう事を「膝下O脚」と言います。もっとも、曲がってしまうのは膝から下のスネの骨だけではなく、足首や膝の関節にも捻り・ズレは生じています。ちなみに股関節から大きく外側に開いてしまうのが「O脚」、両膝が揃っており、膝下から両足首が外側に開く(両くるぶしが付かない)のが「X脚」です。いずれも若い内から少しずつ進行していくものであり、いきなり起こる訳ではありません。気づいた時には悪化した後なのです。

特に成長期の子どもは大人とは違って「骨が縦に伸びる余地」があり、骨が柔らかいです。そのため小さい頃から骨にストレスが蓄積していくと、成長過程で骨が曲がって伸びていく事になります。膝下O脚、X脚、O脚などにより、本来真っ直ぐ伸びるところを曲がって伸びる事になりますから、曲がった分だけ足の長さと身長を損してしまいます。身長を真に伸ばしたいと考えるのであれば、そのような毎日の細かな生活習慣に目を向けるべきです。


尚、足の骨を効率良く伸ばしていくためには、自分の体重と地面からの衝撃によって、足の骨、特に足の骨にある骨端線に対して縦に刺激が与えられなければなりません。すなわち適度な運動が必要な訳です。しかしそのように足の骨が過度に曲がると、骨への衝撃が外側へ逃げ、骨端線への刺激が減ってしまう事があります。

また足の骨の外側への湾曲が大きくなると、体重及び地面からの衝撃を上手く分散する事ができなくなり、どこか一部分に負担が集中するようになります。これにより足首・スネ・ふくらはぎ・膝・太もも・股関節・腰など様々な怪我のリスクが高まると言われています。特に怪我をすると一定期間運動ができなくなります。体を動かさなくなるので食欲も低下します。疲れなければ睡眠欲も低下します。動かさなければストレスも感じます。これらの事も実は身長の伸びに大きく関係してきます。



日本人の平均身長が伸び悩んでいる理由を考える

猫背の女性.pngアジア人は全体として、例えば胴長、短足(特に膝下の骨が短い)、骨盤後傾(腰骨が前へ出て臀部が後ろへ突き出ず、筋肉も発達しない)、手足の指が短く太い、手の平・足の裏が小さい・・・などという身体的特徴があると言われています。また欧米人と比べ、身長も全体として低い傾向が強いです。ここ数十年の間、アジア諸国には欧米の文化が流入してきていますが、こうした身体的特徴が変わるまでの大きな影響はなく、足踏みが続いています。

特に日本人に限って言えば、前述したように「床に長時間座って生活をする」という生活習慣を、数年や数十年という単位ではなく、1000年以上も続けてきています。戦後数十年の間にいくら生活習慣が欧米化したと言っても、その積み重ねを凌駕するのは簡単な事ではありません。よって変化が少ないのは「まだ時間が足りないから」という見方ができます。一方、そうした民族的・遺伝的な要素以外にも、身体的特徴の変化が減っている原因として、「生活習慣に対する認識」も大きく関係しています。

例えば日本人もここ数年、平均身長が伸び悩んでいます。伸びても数mm程度であり、戦後で最も大きな変化がない時代になっています。むしろ数mm下がったという情報もあるぐらいで、生活習慣の欧米化が進んでいるにも関わらず、体格は全く追いついていません。特にスポーツテストの平均値が下がってきているという情報もあるように、日本人は数十年前と比べ、体を動かす人が少なくなっています。身長を伸ばすためには、多種多様な運動を行い、心身に刺激を与える事が重要です。まずはこれが大きく関係していると思います。

また日本人は睡眠に対する意識が低いという事も関係していると思います。例えばスマホ。成長期には成長期でしかできない事があります。わざわざ睡眠の質を犠牲にしてまでする事ではありません。特に寝る直前、目から明るい光が入ると、メラトニンの分泌を低下させ、睡眠の質を悪化させると言われています。これは既に研究で明らかになっている事です。更にメラトニンは思春期以前、早熟を抑える役割があります。このためメラトニンの分泌が悪くなると、思春期を早くに迎えてしまい、早々に身長伸びが止まります。これも大きく関係しています。

尚、睡眠中及び睡眠を行う前からメラトニンは、昼間に分泌されるセロトニンから作られます。特にこのセロトニンは心身を活性化させ、精神安定剤のような役割があります。このため実は昼間の行動も結果として睡眠の質に大きく関係しています。またセロトニンの分泌が悪くなると、ストレスコントロールができなくなり、精神状態が不安定になります。適度なストレスは良いものですが、過度なストレスは成長ホルモンの分泌を抑制するコルチゾール(ストレスホルモン)の分泌を過剰にさせ、身長の伸びに悪影響を及ぼします。

そして食事。食事では制限する事が健康に良い・長生きできる、痩せている方が美しいなど、それを本気で信じている日本人はたくさんいます。しかしそれは大きな間違いであり、むしろそのような考え方は心身の悩みを増やすだけです。まず食事を制限すると細胞の活動に必要なエネルギーが不足します。しかし生命活動の維持に必要な細胞は維持しなければならないので、それ以外の余計なエネルギー消費を抑えようとします。すると糖・蛋白質・脂肪の代謝が抑制され、文字通り省エネ状態になります。その状態では「今を生きる事を優先している」ので、今以上にエネルギーを消費する可能性が高い「成長」は後回しにされます。つまり身長を伸ばすどころではなくなります。大人では筋肉が萎んで基礎代謝が低下します。

ちなみにストレスホルモンには血糖値を上げる作用があるため、ストレス環境では血糖値の上下動が起こりやすくなります。血糖値の上下動は心身の不安定化に繋がります。例えば運動中に血糖値の上下動が起こればパフォーマンスが大きく低下します。コミュニケーションやストレスを受けた時に起これば、感情の制御が上手くできなくなります。睡眠前や睡眠中に起これば当然睡眠の質が低下します。その他、長期的なものでは血管を傷つけ脆くしたり、詰まらせて細胞の機能を低下させたりなど、様々な病気の引き金にもなります。このように全ての生活習慣は密接に関係しています。



「長時間同じ姿勢でいない事」を習慣づける

小さい頃から「床に座るのではなく、椅子へ座る習慣をつける」という強い意識が必要です。例えば絵を描いたり、本を読んだり、勉強したり、ご飯を食べたりなど、何かを長時間するような時には、必ず椅子へ、正しい姿勢で座るように徹底させましょう。家庭によっては、畳張りの和室で、「家族で一緒に食事をする」という事が決まっている場合もあると思います。それは一向に構いませんが、それが食事を終えた後も数時間続くというのは良くありません。せめて自分の部屋の中だけでも、椅子と机を用意し、何か長時間作業する場合には椅子に座って行うようにしましょう。

椅子に座る事ができる場合、足が宙に浮いている状態になるよう、ある程度の高さがある椅子が良いでしょう。またそうして足を宙に浮かす事ができるよう、高さが自由に調節できるような椅子を用意し、成長と共に高さを変え、常に足が宙に浮いた状態にします。子どもにとって「椅子が高く、足が浮いている」事は危ないように思いますが、足を浮かせる事によって、座っている間も、常に重力によって足の骨が引っ張られます。それが膝から下の骨の伸びに良い影響を与えます。ちなみに机も高さ調節ができるものがあります。椅子が高くなり、机が低いと背中が丸くなります。椅子に合わせて高さを変えましょう。

ただし例えそのような椅子に座っていても、「長時間同じ姿勢でいる」事はあまり望ましくありません。長時間同じ姿勢でいると、背中が丸くなりやすく、首・肩甲骨・肩・背中の血流が悪化、周囲の筋肉が凝り固まってしまいます。それにより肩コリや腰痛になる事もあります。数時間何か作業をする場合、時々体を動かして血流を促すようにしましょう。また時々柔らかい場所に両足を揃えて座り、ストレッチをしたり、マッサージをしたりすると良いでしょう。一方、座っている以外の時間では柔らかい場所に寝転がるか、立って運動をすると良いでしょう。ただし寝転がる場合も時々体勢は変えた方が良いです。


ちなみに「正しい正座の方法」は、足の裏を重ねず、かかとの頂点にお尻が乗るようにして足を真っ直ぐ揃えて座ります。その状態で背中を真っ直ぐに伸ばし、股関節を軸にして少しだけ上半身を前傾します。これによりお尻とふくらはぎとの間に少しだけ隙間が空き、これによって足にかかる体重が軽減され、足の痺れが抑えられるようです。ただしいくら正しい正座でも、膝が過度に曲がる事になるので、長時間の正座は膝の怪我の原因になります。また足の血管が長時間圧迫される事では、血の塊である血栓の原因にもなります。その意味でも長時間の正座は良くありません。



参考記事一覧

<お知らせ>
当ブログが電子書籍になりました!
ご興味のある方は「電子書籍について」からどうぞ!!

↓当ブログを応援して下さる方は1日1回で構わないのでクリックをお願い致します↓
インフォブログFC2ブログランキング人気ブログランキングブログ王ブログランキングならblogramにほんブログ村