ストレスで高血糖に?血糖値の調節に関わる様々なホルモン

ストレスを受けると血糖値が上がりやすくなると言われています。この記事ではそんなストレスと血糖値の関係について私なりにまとめています。やや長文ですが、ご興味のある方は下記「続きを読む」よりどうぞ。

血糖値

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ストレスを受けると血糖値が上がりやすくなる?

血糖値を下げる働きを持つホルモンとしてはインスリンが有名です。インスリンには人体で唯一血糖値を下げる作用があり、細胞内へ糖を取り込ませ、またその際にはアミノ酸等も一緒に取り込ませ、蛋白質の合成も促す役割があります。すなわちこれがなければ、細胞は正常に活動する事ができないため、その役割は非常に重要なものです(しかし何でそんな弱点を作ったのか・・・)。特にインスリンにおいては「インスリン抵抗性、あるいはインスリン感受性」と呼ばれるものがあります。これは細胞側のインスリンに対する反応の高さを意味しており、せっかくインスリンが分泌されても、細胞側が糖を上手く受け取れない事があります。これは細胞のエネルギー消費及び代謝の促進、すなわち細胞の活発な活動によって改善されるので、一概には言えませんが、それを促す運動によって改善する事ができます。

一方、逆に血糖値を上げる働きを持つホルモンもあります。それが成長ホルモン、ノルアドレナリン、アドレナリン、グルカゴン、コルチゾールなどです。血糖値ではインスリンばかり注目されますが、これらのホルモンも非常に重要です。

これらのホルモンは、例えばインスリンの作用によって血糖値が下がった時、脳や運動及び臓器の活動などによって糖を大量に消費した時、あるいは単純に糖の摂取量が不足した時などに分泌が促され、血糖値を上げる役割があります。血糖値というのは高い方が健康に悪いという印象が強いですが、下がり過ぎると、そのように細胞がエネルギーを受け取れませんので、そうして血糖値を上げて安定化させようとします。一方、実はこれらのホルモンは「ストレスを受けた時」にも分泌が促されます。何故ストレスを受けた時、それらのホルモンが分泌され、血糖値が上がるのか?というと、これは単純に「ストレスに抗うため」です。ストレスに抗うには心身を活性化させる必要があり、大量のエネルギーが必要になります。そのために血糖値を上げようとするのです。

簡単な例を用いて説明すると、例えば暗い森の中に迷い込んでしまった時、そこは視界が不明瞭で、周囲の様子が非常に分かりにくいです。そんな森の中にはクマやオオカミなどの獰猛な肉食獣が生息していたり、あるいは足場が不安定な場所もあるなど、何も考えずにただひたすら歩き続けるだけでは、むしろ自分の生命に危険が及ぶ可能性が高いです。そのような環境では当然視覚だけに頼った安易な行動はできません。またいつ自分の生命に危険が及ぶか分からないので、いつでも咄嗟の行動ができるよう、常に準備をしておかなければなりません。しかし咄嗟の時の反応速度というのは、自分で自分の体を壊してしまわぬよう普段はリミッターがかけられています。それを限界近く、あるいは限界以上に引き出し、とにかく危険を回避しようと努めるのが、これらのホルモンの役割です。

例えばアドレナリンが分泌される事では瞳孔が開いたり、血圧が上がったり、心臓の鼓動や呼吸が速くなったりする事で知られています。実はこれこそストレスに抗うため、心身を活性化させようとして起こる症状です。血糖値を上げる作用もその一つです。場合によっては過度に分泌され、感情の制御が上手くできず、時には攻撃的になる事もありますが、その際に生まれた怒りや恐怖などの負の感情も、元々は自分の身を守るために備わっている能力です。これらのホルモンにはそうした感情を高める作用もあります。


ちなみにそうして血糖値を上げたとしても、全ての細胞が糖を欲している訳ではないので、使われないまま血液中を漂う糖も出てきます。使われなかった糖はどこへ行くのかというと、例えば筋肉内にグリコーゲン(糖の一種)として補充されたり、エネルギーを欲しているどこかの細胞にたまたま取り込まれたり、肝臓に戻って再びグリコーゲンになったりします。しかしそうして何かに使われる方がまだマシで、使われずに長時間血液中を漂う場合もあります。

糖は短期的なエネルギーとしては非常に優秀ですが、長期的には人体にとって良くない「糖化(蛋白質や脂質に結合し、分子の形を変えてしまう)」に使われたり、血管の壁を傷つけたり、細い血管をつまらせるなどのリスクがあると言われています。つまり糖が血液中を長時間漂うのは心身の健康に良くない事なので、人間はどうにかしてその糖を処理しようとします。そこで脂肪の登場です。脂肪は長期的に安定しているので、余った糖は一旦脂肪に変換し、糖を処理します。これにより「ストレス→血糖値が上昇しやすくなる→そこで糖の多い食事→肥満・・・」という悪循環の原因になる事もあります。



高血糖も良くないが低血糖も良くない

糖がたくさん連なった多糖類や少糖類は「単糖類」の集合体です。人間は単糖類の形でしか吸収できないので、多糖類も少糖類も全て単糖類まで分解してから吸収する必要があります。つまり多糖類や少糖類は、単糖類と比べれば分解・吸収スピードは緩やかであり、血糖値も上がりにくいという事が言えると思います。

しかし一度に大量の多糖類や少糖類を摂取した場合、吸収される間際になって一気に単糖類まで分解される事があります。これにより血糖値の急上昇を招きます。前述のように「単糖類と比べれば多糖類や少糖類の吸収は遅い」ので、血糖値が上がるまでのラグはそれぞれ違いますが、結局、単糖類として吸収される事に変わりはなく、多糖類も少糖類もブドウ糖と同様に高血糖のリスクがあります。

一方、人体には血糖値のバランスを整える機能があり、糖を摂取する事で血糖値が上がると、それをどうにかして下げようとします。この時に分泌されるのがよく知られている「インスリン」で、その作用によって細胞への糖の取り込みが促進され、血糖値が下がります。しかし何らかの原因でインスリンの分泌量が異常に増えたり、その作用が強くなってしまう事があります。それにより血糖値が下がり過ぎて低血糖状態になり、別の問題が起こる事もあります。

特に糖は細胞の活動エネルギーとして重要なものです。その糖が血液中から消えるという事は、様々な細胞の機能が低下するという事を意味します。それにより脳や筋肉の活動量が著しく制限され、体が動かなくなったり、頭がボーッとして思考力が低下したり、場合によっては意識消失を伴う事もあります。

また「血糖値の低い状態」というのは、言い換えれば「エネルギーが不足している状態」と同じです。このため血糖値が急激に下がると、「細胞がエネルギーを欲していると勘違い」をしてしまう事があります。これにより強烈な空腹感に襲われる事があり、エネルギーが十分な状態にも関わらず、次のエネルギー=食事を求めてしまいます。そうなれば次の食事までの感覚が短くなり、血糖値の上下動が起こる頻度が更に上がります。いずれは血糖値を調節する機能が壊れてしまうでしょう。

尚、低血糖の後、今度はアドレナリンなど血糖値を上げるためのホルモンが大量に分泌されます。特にアドレナリンには心身を興奮させる作用があるので、それによっても様々な悪影響をもたらします。また血糖値を上げる際には脂肪や蛋白質を分解し、それを糖の代わりに利用する事があります。血糖値を上げるホルモンにはそれを促す作用もあるので、それによって筋肉が落ち、基礎代謝が低下してしまいます。

「血糖値」と聞くと「高いと危険」というイメージが強いのですが、そのように「インスリンの過剰分泌による低血糖」も、実は糖尿病のサインとなる事があります。血糖値は「下げる」事だけを考えるのではなく、「コントロールする」「激しい上下動を避ける」という事が重要です。



糖質制限を行っても「脂肪だけ」が燃える訳ではない

血糖値を上げるためには当然その供給源となる糖が必要です。特に糖は一時的に肝臓内に蓄えておく事ができるため、そうして血糖値を上げる必要がある場合、肝臓内に蓄えられたグリコーゲン(糖の一種)を分解して糖を得ます。もちろん直前の食事で摂取された糖も使われます。

しかし肝臓内に貯蔵しておける糖の量には限りがあるので、そうしてストレスを受ける度、血糖値を何度も上げていれば、いずれ底をついてしまいます。すぐに食事をして糖を補給できれば良いですが、環境によってはそうも行かない場合もあります。またすぐその場で糖が必要な場合もあり、食事をしても間に合わないという事もあり得ます。そこで人間は、蛋白質や脂肪などを糖の代わりにエネルギーにしようとします。特に糖が不足した時、そうして糖以外の物質を糖へ変換する仕組みの事を「糖新生」と言います。実はこの糖新生を意図的に利用するのがいわゆる「糖質制限ダイエット」です。

しかし糖新生が起きても、残念ながら「脂肪だけが分解される」ような都合の良い事は起こりません。何故ならそのように糖新生では脂肪だけでなく蛋白質も一緒に分解されてしまうからです。つまり糖質制限では筋肉が萎み、基礎代謝が低下するリスクがあるのです。また糖新生が促進されるほどにまで糖が不足している場合、糖に限らず、摂取されるエネルギーと消費されるエネルギーのバランスが崩れています。特にそれにより消費が長期に渡って上回ると、エネルギーを節約するようになる「省エネ状態」になる事があります。これにはエネルギー状態を感知する酵素が関係しており、その働きによって「エネルギーをどのように利用するか」という代謝の方向性が変化すると言われています。

簡単にその理由を説明すると、エネルギーが不足した状態というのは一種の「飢餓状態」とも言えるため、その状態が長く続けば、いずれ生命活動の維持ができなくなる可能性があります。そのため省エネ状態になると、生命活動の維持に必要な組織を維持する事を優先させ、それ以外のエネルギーは節約しようとします。特に筋肉はそれを動かす際に大量のエネルギーを消費する上、筋肉をただ維持・成長させるだけでもかなりのエネルギーが奪われます。つまり省エネ状態になるとそれを節約しようとするので、これによって筋肉の維持・成長は後回しにされます。その結果、基礎代謝が大きく低下します。

また脂肪はエネルギーとして非常に優秀で、糖や蛋白質と比べると倍以上のエネルギーがあります。つまり脂肪は蛋白質よりも燃やすのに時間がかかる上、その脂肪を燃やすための筋肉が落ちてしまうので、省エネ状態になると、脂肪が落ちるスピードよりも筋肉が萎むスピードの方が速くなります。「糖質制限」という言葉だけを聞くと、単に糖を制限すれば良いように思ってしまいますが、糖質制限ではそのようなデメリットを防ぐため、むしろエネルギー源となる脂肪を意識的に摂取し、摂取と消費のバランスを確保しなければなりません。



ストレスは精神だけでなく肉体も滅ぼしてしまう

大きなストレスを受けると、副腎皮質から「コルチゾール」というホルモンが分泌されます。特にこのコルチゾールには心身の活性化に伴って起こる、糖・蛋白質・脂肪の代謝を制御する役割があります。当然人体にとって必須です。また前述したように血糖値を上げる作用や、血圧を高める作用などがあると言われています。これもストレス反応によるものです。

一方、コルチゾールが過剰に分泌される事では、脳にある「海馬」を萎縮させるという事が言われています。海馬は記憶に関与しているとされているので、それが過度に起これば記憶力が低下する事になります。何故これが起こるのかについてはあくまで推測ですが、大きなストレスを忘れる事で自分を守るためだと考えられます。またそのようにコルチゾールには血糖値や血圧を上げる作用もあるので、過剰分泌によってはその作用も強く現れ、血糖値及び血圧の不安定化にも繋がります。更に分泌量によっては免疫機能を低下させるとも言われており、過度なストレスはそうして身を滅ぼします。

またコルチゾールは脂質の一種である「コレステロール」から作られます。そのためコレステロールが多い状態では、コルチゾールの分泌量が増え、前述したデメリットが強くなる可能性があります。更にコレステロールは「プレグネノロン」という物質を経てからコルチゾールになります。実はこのプレグネノロン、性ホルモンの材料と同じものです。つまりストレスによってコルチゾールが過剰に分泌されると、それに伴ってプレグネノロンも増え、それに釣られて性ホルモンの分泌量も増える可能性があります。それによっては思春期を早くに迎え、身長の伸びに悪影響を及ぼす可能性もあります。

尚、そのようにコルチゾールはコレステロールから作られるので、「ストレスがきっかけになり、血中のコレステロールの量が増える」という見方もできると思います。特に血中にあるコレステロールの量が過剰に増える事では、血液がドロドロになって流れにくくなり、細い血管を詰まらせたり、血管の壁を傷つけてしまう事があります。またコレステロールは活性酸素によって酸化されて「過酸化脂質」になります。過酸化脂質は酸化ストレスを発生させ、細胞内にあるDNAを損傷させると言われており、それがガンの原因になるとも考えられています。過度なストレスは寿命にも関わる訳です。

ちなみにコレステロールには「LDLコレステロール」と「HDLコレステロール」があります。一般的にLDLの方を悪玉、HDLの方を善玉と呼んでいますが、悪玉・善玉という呼び方は実は正式名称ではありません。コレステロールは血液に乗って運ばれる際、蛋白質と結合した「リポ蛋白質」という形になる必要があります。LDLとHDLの違いはこのリポ蛋白質の種類の違いによるもので、LDLは肝臓から末梢へ運ぶ際に、HDLは末梢から肝臓へ運ぶ際に利用されており、その違いによって便宜上、悪玉・善玉と呼んでいるだけです。まぁLDLの方は動脈硬化の原因となる事があるので、そのコントロールは必要ですが・・・。



高血糖は様々な病気の引き金になる事がある

血糖値が上がると血液がドロドロの状態になり、血管内をスムーズに流れる事ができなくなります。それによってまず細い血管が詰まりやすくなります。末梢には細い血管がたくさんあるので、それによって心臓より遠い場所にある細胞ほど、栄養状態が悪くなるという事がまず考えられます。特に言われているのが「視力の低下」です。眼球の周囲にある血管は非常に細いため、高血糖が原因で眼球への血液の供給が上手くできなくなる事で、光や色を感じる網膜がダメージを受けると言われています。特に糖尿病に関するものは「糖尿病網膜症」と呼ばれています。

また血液が流れづらくなると血流も遅くなるため、そのままでは生命活動に必要な組織への血流も滞ってしまう可能性があります。そのため心臓のポンプ作用を高め、心臓から遠い場所にある細胞に送る血液の量を増やそうとします。つまり血液が流れづらい状態にも関わらず、血流は増やそうとするので、血管の壁にかかる圧力すなわち血圧が高くなり、余計に血管の壁を傷つけやすくなります。それによってできるのが血の塊である「血栓」です。尚、そうして心臓の活動量が増えるので、全身の血管だけではなく、単純に心臓自体の負担も大きくなります。

血栓は小さいものはすぐに溶けてなくなってしまいます。しかし大きいものはそのまま運ばれ、やはり細い血管を詰まらせます。また傷ついた血管の壁に何らかの原因で酸化した脂肪が沈着していた場合、そこでは血管の壁が太く、分厚く、脆くなり、内部が狭くなっています。それが「動脈硬化」です。血栓はそうして動脈硬化によって細くなった血管を詰まらせやすく、それが生命活動に必要な組織に近い場所で起こった場合、生命活動に何らかの支障をきたします。胃腸・肝臓・腎臓なら当然その処理機能が低下します。心臓や脳ならば即命に関わるでしょう。

ここまで言うと大げさのように思えますが、食事は毎日欠かさず行うものであり、その積み重ねは我々が想像する異常に大きなものです。例えば1日3回の食事をしていれば、1年だけでも1095回もの積み重ねがあります。それが数年間繰り返されると考えれば、「できるだけ心身に良い生活習慣を積み重ねた方が良い」という事は誰でも分かると思います。決して軽んじるべきではありません。



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