蛋白質を摂るだけでなく「アミノ酸スコア」を高めよう

身長を伸ばすためには蛋白質を摂取する必要があります。しかし単に蛋白質をたくさん摂取するだけではなく、蛋白質を構成する必須アミノ酸のバランスを整える事が重要になります。ここではそんな必須アミノ酸のバランスを示す「アミノ酸スコア」について私なりに考えた事を書いてみます。ご興味のある方は下記「続きを読む」よりどうぞ。

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★当記事の目次

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●「アミノ酸スコア」とは?

蛋白質は様々な種類のアミノ酸から作られています。特にその中でも、体内だけでは必要量を補う事ができず、また蛋白質を形作る上で必ずなければならないアミノ酸の事を「必須アミノ酸」と言います。すなわち蛋白質を効率良く作るためには必須アミノ酸を常に補給し続けなければなりません。

そんな必須アミノ酸は全部で9種類あります(参考記事→必須アミノ酸それぞれの役割について)。9種類の必須アミノ酸それぞれの必要量は異なりますが、そのようにどの必須アミノ酸も蛋白質を作るために欠けてはならないため、例えばどれか一つでも摂取量が足りなくなると、他が十分でも足を引っ張られ、それに合わせて背が揃えられるという特徴があります。このため必須アミノ酸は9種類全てをバランス良く摂取する事が重要になります。

そこで「どの種類の必須アミノ酸が、どれだけバランス良く含まれているか」を指す数値として「アミノ酸スコア」というものがあります。9種類の必須アミノ酸にはそれぞれ個別のアミノ酸スコアがあり、それぞれのスコアは「基準値と比べてどの程度含まれているか」によって決定されます。

尚、9種類の必須アミノ酸の持つそれぞれのアミノ酸スコアが全て100であれば、その食品及びその料理は「必須アミノ酸のバランスが良い」という事を意味します。つまりアミノ酸スコアが100となるような食事が理想的な訳です。ただしそのように「少ない部分に合わせる」事になるので、例えば1箇所でも50や60など低いスコアがあれば、例え他が100でもそのスコアになってしまいます。それを防ぐためには、必須アミノ酸のスコアの高い食品をたくさん組み合わせる事が重要になります。詳しくは下記参照の事。



●白米のアミノ酸スコアについて考える

一つの例として白米のアミノ酸スコアについて考えてみます。尚、下の画像は「白米のアミノ酸スコアの例(2010年文部科学省食品データを参照したイメージ)」です。

白米のアミノ酸スコア.JPG

白米に含まれている必須アミノ酸の内、最も量が少ないのは「リジン」です。実際、リジンのアミノ酸スコアは「58(調査によって多少スコアは前後する)」になっています。前述したようにアミノ酸スコアは一箇所がどれだけ優れていても、一箇所でも低い部分があれば、その部分に合わせて背が揃えられます。それを踏まえて考えてみると、白米にリジン以外の必須アミノ酸がどれだけ含まれていても、リジンに合わせて全体を揃える必要があるので、白米のアミノ酸スコアはリジンと同じ「58」になります。100と比べるとこれは低いと言える数値です。

ただし「58」というアミノ酸スコアは「白米だけしか食べない場合」の話であって、他の食品を一緒に食べれば十分に補う事ができます。特にそのように白米はリジンの含まれる量が少ないので、リジンを多く含む食品を組み合わせる事で、アミノ酸スコアを高める事ができます。

ちなみにアミノ酸スコアを100にするようなメニューを考えるためには、「栄養士などのように専門的な知識がなければできないのでは?」と思う人もいるかもしれません。しかし実際は決して難しく考える必要はなく、単に「アミノ酸スコアが高い食品同士を組み合わせていく(アミノ酸スコアの高い食品を知っておく必要はある)」だけです。そうすれば誰でも簡単にアミノ酸スコアを100にする事ができます。



●「プロテインスコア」「アミノ酸スコア」「PDCAAS」の違い

「プロテインスコア」とは、1975年頃に「国際連合食糧農業機関(Food and Agriculture Organization:略称FAO)」が提示した指標です。このプロテインスコアと前述してきた「アミノ酸スコア」との違いは何なのかというと、プロテインスコアは卵と牛乳のアミノ酸組成から導き出された評価であり、アミノ酸スコアのように「人間のアミノ酸の必要量」に基づいていない点が大きく異なります。そのためプロテインスコアはその後の1985年頃、FAOと「世界保健機関(World Health Organization:略称WHO)」によって改訂され、それが現在に至る「アミノ酸スコア」となっています。

更にそのアミノ酸スコアは1993年頃に改訂され、「タンパク質消化吸収率補正アミノ酸スコア(Protein Digestibility Corrected Amino Acid Score:略称PDCAAS)」が提示されています。これはアミノ酸スコアに「タンパク質の消化・吸収・利用の効率性」を評価として入れたもので、より正確なものになっています。ただしPDCAASはアミノ酸スコアと比べると一般的ではないので、あまり使われる事はありません。これは単純に認知度の問題です。

ちなみにアミノ酸スコアは「植物性の食品よりも動物性の食品の方が高い」傾向があるのですが、現在主に使われている「アミノ酸スコア」においては、植物性の食品の中でも「大豆」のアミノ酸スコアだけが例外的に「100」となっており、「大豆だけ突出しているのはおかしい」という意見もあるようです。一部では「大豆製品を売るためだ」など陰謀説を唱えている人もいるとかいないとか・・・いずれにしろ「動物性の食品をたくさん食べた方が必須アミノ酸を摂る事ができる」という点は正しいので、我々が行う事に変わりはありません。



●アミノ酸スコアの計算式と計算方法

下にあるのが一つの食品に含まれている「必須アミノ酸単体」のアミノ酸スコアの計算式です。


・「一種類の必須アミノ酸におけるアミノ酸スコア」=「窒素1g当たりに含まれるその必須アミノ酸の量」÷「その必須アミノ酸の評定パターン」×100


それらの内、「窒素1g当たりに含まれる必須アミノ酸の量(mg)」に関しては「文部科学省のホームページ」にある「第2表 食品可食部の基準窒素1g当たりのアミノ酸組成表」に細かく記載(調査によっては多少異なる場合がある)されています。一方、「アミノ酸評点パターン」に関しては「WHO(世界保健機関)」が公開しています。その数値は以下の通りです。この2つの値を用いれば誰でもアミノ酸スコアを求める事ができます。


必須アミノ酸の種類基準値
イソロイシン180
ロイシン410
リジン360
含硫アミノ酸(メチオニン+システイン)160
芳香族アミノ酸(フェニルアラニン+チロシン)390
トレオニン(スレオニン)210
トリプトファン70
バリン220
ヒスチジン120

尚、下記ではこの計算式を利用し、実際に食品のアミノ酸スコアを計算してみます。ただし例えばニンジンなどの有名な食材の場合、わざわざこのような計算式を使ってアミノ酸スコアを計算しなくても、ネットで調べれば一発で分かります(笑)



●実際にアミノ酸スコアを計算してみよう

・白米のアミノ酸スコアを求める

白米の「窒素1g当たりに含まれる必須アミノ酸量(前述の厚生労働省のホームページを参考)」はそれぞれイソロイシン230、ロイシン480、リジン210、含硫アミノ酸280、芳香族アミノ酸540、トレオニン210、トリプトファン81、バリン340、ヒスチジン160となっています。これを前述の計算式に当てはめ「必須アミノ酸の評定パターン」で割り、更にそれに100をかけます。実際に計算(四捨五入)してみると、それぞれイソロイシン128、ロイシン117、リジン58、含硫アミノ酸175、芳香族アミノ酸138、トレオニン100、トリプトファン115、バリン155、ヒスチジン133となり、前述した白米のアミノ酸スコアのグラフと合致します。尚、白米だけを食べる場合、一番低いリジンの値が参照されるので、白米のアミノ酸スコアは58です。

・納豆のアミノ酸スコアを求める

同じように計算します。まず納豆の「窒素1g当たりに含まれる必須アミノ酸量」はそれぞれイソロイシン260、ロイシン440、リジン390、含硫アミノ酸190、芳香族アミノ酸540、トレオニン210、トリプトファン84、バリン290、ヒスチジン170となっています。これも計算式に当てはめて計算し、イソロイシン144、ロイシン107、リジン108、含硫アミノ酸119、芳香族アミノ酸138、トレオニン100、トリプトファン120、バリン132、ヒスチジン141と出ます。つまり納豆だけを食べる場合、一番低いトレオニンの値が参照されるので、納豆のアミノ酸スコアは100です。

・鶏胸肉のアミノ酸スコアを求める

鶏胸肉の「窒素1g当たりに含まれる必須アミノ酸量」はそれぞれイソロイシン320、ロイシン530、リジン600、含硫アミノ酸250、芳香族アミノ酸480、トレオニン300、トリプトファン76、バリン330、ヒスチジン340です。これも計算式に当てはめると、イソロイシン178、ロイシン129、リジン167、含硫アミノ酸156、芳香族アミノ酸123、トレオニン143、トリプトファン109、バリン150、ヒスチジン283となります。つまり鶏胸肉だけを食べる場合、鶏胸肉のアミノ酸スコアは100です。通常なら一番低いトリプトファンの109が参照されますが、前述したようにアミノ酸スコアは100が一番高い数値なので、自動的に100まで切り捨てになります。

・牛乳のアミノ酸スコアを求める

牛乳の「窒素1g当たりに含まれる必須アミノ酸量」はそれぞれイソロイシン340、ロイシン620、リジン520、含硫アミノ酸220、芳香族アミノ酸540、トレオニン260、トリプトファン83、バリン410、ヒスチジン180となっています。これも計算式に当てはめてみると、イソロイシン189、ロイシン151、リジン144、含硫アミノ酸138、芳香族アミノ酸138、トレオニン124、トリプトファン119、バリン186、ヒスチジン150となります。つまり牛乳だけを飲むというような場合、牛乳のアミノ酸スコアは100です。これも100以上は100になるからです。


ちなみにアミノ酸スコアとはバランスの事であり、蛋白質及び必須アミノ酸「そのものの絶対量」ではありません。例えば牛乳は動物性の食品ですが、肉や魚の方が100g当たりに含まれる蛋白質の量は多いのです。



●食事全体のアミノ酸スコアを高めるには・・・

前述のアミノ酸スコアは「一つの食品だけを食べた場合」のスコアです。複数の食品を一緒に食べるとまた勝手が変わってきます。例えば白米の持つリジンの「58」というスコアは、100と比べるとかなり低いので、他の食品との組み合わせ次第ではそれを補いきれない事があります。特に植物性の食品は、大豆は例外として、基本的にアミノ酸スコアが低いものが多いです。そのため白米のような植物性の食品を食べる場合、アミノ酸スコアの高い動物性の食品を「複数」組み合わせる事が重要になります。

植物性の食品には大きな落とし穴があります。植物性の食品は動物性の食品と比べると、蛋白質や脂肪の含まれる量が少なく、カロリーも低く、また食物繊維も含まれているため、それだけを食べていれば健康に良い、長生きできる、痩せるなどと多くの人が勘違いしています。しかしそのように植物性の食品だけでは必須アミノ酸のバランスが偏り、また必須アミノ酸の絶対量も足らず、蛋白質を効率良く作る事ができません。日々の食習慣においては、動物性の食品(肉、魚、卵、乳など)を一品でも多く取り入れるようにしましょう。



参考記事一覧

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