世界の人たちは何故体が大きいのかについて考えてみる

我々日本人の身長はアジアという範囲では高い方にあるのですが、日本人を含むアジア人は世界という範囲で見れば身長が低い部類に入ります。特にアジア人の身体的な特徴として共通しているのが、例えば足が短い、手や足が小さい、指が短い、胴長、撫で肩などです。これらもアジア外ではあまり見られません。

この記事ではまず「アジア人がそういう容姿をしている理由はどこにあるのか?」という点と、逆にアジア外の人たちの「体が大きい理由はどこにあるのか?」という点について私なりに考えてみたいと思います。長文ですがご興味のある方は下記「続きを読む」よりどうぞ。

尚、こちらの記事も合わせてご覧いただく事をオススメします。
→「平均身長が世界でもトップクラスに高いオランダについて
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類人猿が二足歩行をするまで

さる.jpg前述の理由を考えるためには人間がまだ人間ではなかった頃、すなわち「類人猿」だった時代まで遡らなければなりません。類人猿が二足歩行を「し始めた」のは現在より700万年以上前と言われています。それより以前はというと、現在の猿と同じように木の上を中心に生活していました。木の上は比較的安全で天敵がほとんどいなかったため、安定的に個体数を増やす事ができ、その過程で様々な種族に枝分かれしていきます。

しかし当時は既に地殻変動によって森の減少が起こっていたため、個体数が多くなると次第に食べ物の確保が難しくなっていきます。食料がなければいくら安全な木の上でも生き延びる事はできません。ですので一部の種族は食べ物を求めるために陸上へ降りたり、別の森への長距離移動を試みるようになり、それが二足歩行の起源だとされています。もちろんその時点ではまだ「二足歩行をし始めた」というだけであり、そこから更に300万年〜500万年という時間(現在より700万年前〜400万年前まで)をかけて、ゆっくりと二足歩行ができるような体へと進化していく事になります。

ちなみに実際に二足歩行ができるような体へ進化したのは、現在より400万年前〜200万年前、また我々の祖先である人類が存在したのは現在より25万年前と言われています。その過程でそれ以外のほとんどの種族は絶滅し、やがて我々祖先の種族のみ後世へ遺伝子が残っていく事になります。


類人猿の脳の進化について

当時の陸上は巨大な肉食獣や草食獣が支配する「弱肉強食」の世界であり、まさしく「強者」しか生きる事ができない非常に厳しい時代でした。陸上に降りたばかりの類人猿にとって、それはそれは恐ろしい世界だった事でしょう。しかし食料が乏しくこのままでは絶滅してしまうため、陸上で生きる道を選ばざるを得なくなります。この「何とかしなければ生き残れない」という生存本能は、種を進化に導くための条件とされており、生命に危機が及ぶほど自分の優秀な遺伝子を残そうとするのだそうです。その結果、類人猿は主に「脳」を進化させて大きくする道を選びます。

脳.png巨大動物の支配する陸上において人類が生き残るためには、「いかにして巨大動物の脅威から逃れ、食料を確保しながら生き延びる事ができるか」が非常に重要です。ではどうしたのかというとまず「未然に危険を察知する」能力を向上させました。目や鼻、耳など五感を発達させ、巨大な動物が接近してくる前にその場から遠ざかる事にしたのです。それによっては五感から与えられる情報量が多くなり、その複雑な情報を処理するために脳が少し大きくなりました。しかしそれだけでは単に「危険を察知」しただけであり、逃げてもそのままでは追いつかれてしまいます。ですので続いて「次にどのように行動したら危険を回避する事ができるか」を考えるようになっていきます。例えば木の影に隠れたり、音を立てないように歩いたり、単純に駆け足で逃げるなど今まで本能的に行っていた行動を、その時の状況に応じて頭で考えて行動するようになったのです。それによっても脳は少し大きくなりました。

また前述した通り「食料の不足」がありますので、逃げながら「普段食べる事のないものを食べて飢えをしのぐ」という事もしなければなりませんでした。活動範囲が広がれば広がるほど体力を温存する必要があり、無闇に食料を求めて探し回ってもリスクが増えるだけです。よって「この場所にあるこの食べ物は食べる事ができる・できない」「この場所は危険な動物がいるから通らない」などの判断・記憶が必要になり、それも脳の発達に繋がりました。例えば普段食べた事のない硬い食べ物は、それを食すためにどうすれば良いのかを考えました。現存するオランウータンも石を木の実に叩きつけて割って中身を食べる事ができますが、そのような事を繰り返した結果、より確実に生き残るためには石や木などの道具を使う事が必要となり、指先を細やかに操る事でも更に脳の発達に大きな影響を与えました。

ただ、そのような行動は全て「逃避行動」であり、いくら逃げる能力が高くても種の存続には限界があります。何故なら猿よりも五感が優れていて足が速くスタミナもある動物など山ほど存在するからです。よって更に確実に生き残るため「自ら巨大動物の脅威を減らす」という事も考えるようになります。すなわち「巨大動物を倒す」という事です。もちろん今までの経験で一人で立ち向かっても到底勝てないという事は分かっていますから、大きな動物を確実に捕らえるためには「一人での狩猟よりも集団での狩猟の方が効率が良い」という事にも気づいていきます。それによって集団での狩猟のために仲間同士の意思疎通=コミュニケーション能力が必要になり、声、ジャスチャー、表情などコミュニケーションの手段が多様に増えていきます。それを行う事のできる自分の属する集団の人数が増える事で、脳の発達を加速させていきました。

そうして狩りによって動物の肉を安定的に確保する事ができるようになると、豊富な「動物性のタンパク質」を摂取できるようになります。それによって栄養状態が劇的に改善され、脳だけでなく体もどんどん大きくなっていきます。また体が大きくなった事で、その大きな体をコントロールするために更に脳が発達します。このようにどんどん良い循環が起こり、脳は大きくなっていったのです。


優秀な遺伝子はサイクルで極まっていく

それは言い換えると「脳が小さい者は生き残る事ができない」という事であり、実はそれが進化には必要不可欠なのです。例えば偶然脳を大きくする遺伝子を持った子猿が生まれる場合、その小猿は今までの猿よりも「考える」という事に優れています。続いてその猿が普通の猿と交配し2匹の小猿が生まれた時、確率で脳を大きくする遺伝子がその小猿2匹へと受け継がれます。そして同じようにその小猿と普通の猿のペアが2つでき、更にその両親から生まれた小猿には確率で脳を大きくする遺伝子が受け継がれます。それをひたすら繰り返していくと、いずれは脳を大きくする遺伝子を持つ猿同士が交配するようになり、その数をどんどん増やしていく事ができます。これが進化の過程です。

当時は寿命が短く交配のサイクルも速かったため、そのような事が一旦起こると「脳が大きい」という遺伝子は物凄いスピードで極まっていきます。その結果、大きい脳とそれを効率良く使うための体を持った猿のみが最終的に生き残っていき、現在の人類の容姿を形成していきました。我々の祖先であるホモ・サピエンス(人類)が最初に登場したのは現在から25万年前の事ですが、そこまで時間をかけて進化してきたのです。

これら進化の事は現代の人類からすれば全く想像できないように思えますが、例えば「ずっとジャングルの中で暮らし、昔ながらの道具を使った狩猟によって動物を捕らえる」というような原始的な民族は現在でも世界中に存在しています。「命の危険に晒される」という意味では彼らは進化をする類人猿と似ています。すなわち危険に晒される事が少なくなった我々現代人よりも、そのような民族の方が現在でも「優秀な遺伝子」を持っている可能性が高いと言えます。もしそういった民族が比較的近しい祖先に存在していれば、我々の体も大きくなるかもしれません。海外の人の体が大きいのは、そのような優秀な遺伝子を色濃く受け継ぎ、現在まで残す事ができているからだと私は考えています。


アメリカ合衆国を例に海外人の体が大きい理由を考えてみる

アメリカ.jpg「海外の人の体が大きい=優秀な遺伝子が現在まで強く残っている」という事は国の歴史から考えると分かりやすいです。例えば「アメリカ合衆国」ですね。アメリカは国が大きいので日本人の多くは「歴史が長い」と思っていそうですが、実は現在の「アメリカ合衆国」となったのは1787年からで、国になってから200年ちょっとしか経っていないのです。それ以前はというと数々の戦い(紛争や戦争)を繰り返す事によって国を大きくしてきたという悲しい過去があります。

元々アメリカ大陸に住んでいたのは「アメリカ先住民族」であり、彼らは現在より約3万年前〜1万年前の氷河期にシベリア→アラスカ→アメリカ大陸と渡って来た民族(「インディアン」という言葉は現在ではあまり使われていない名称)です。最初にアメリカ大陸に渡ってきた人数は少なかったようですが、広く散らばって様々な場所で小さな部族を形成し、それぞれの部族において少しずつ人を増やして大きくなっていきます。その部族・言語・文化は現在では細かすぎて分類できないほど多かったと言われています。

しかし1493年頃からヨーロッパの人々がアメリカ大陸に渡り始めます。そのきっかけとなったのがアメリカ大陸へ最初に渡ったあの「コロンブス」と言われており、それ以降特に16世紀(1500年台前半)頃からは、広大なアメリカ大陸を植民地化しようと多くの国が競い合うようになります。植民地化を加速させるヨーロッパ人はアメリカ大陸を我が物とするため、先に住んでいたアメリカ先住民族に対して不当な扱いをしました。例えば強制的に移住を強いたり、不当に奴隷にしたりなどやりたい放題で、抵抗する各地のアメリカ先住民族との間で度々衝突が起き、それによって多くの命が失われたと言われています。

それお加えてアメリカ先住民族は、ヨーロッパ人が持ち込んだ伝染病などの病気によっても急速に数を減らします。これはアメリカ先住民族に「ヨーロッパに存在する病気」に対する免疫がなかったため、例えばインフルエンザ、チフス、はしか、天然痘など、現代においても重症化すると命の危険が及ぶような病気によく罹りました。その事もあって、ヨーロッパ人が来る前には200万人いたアメリカ先住民族が、19世紀後半(1800年代後半)には25〜30万人ほどにまで減少する事になります。

20世紀後半(1900年代後半)のアメリカ先住民族の数は140万人以上にまで回復しますが、アメリカ大陸では1787年にアメリカ合衆国として建国された後も、そういった国同士、宗教同士、民族同士などという争いが絶えませんでした。例えば1800年代後半の南北戦争や西部開拓によるインディアン戦争、1900年代の世界大戦等が挙げられますね。この時代は世界中で領土を広げるために度々争いが繰り返されたため、その争いの度に「大きな体(病気や怪我に強い体)」と「大きな脳と知恵」、そして「強運」を持ち合わせた人だけが生き残りました。これは悲しい過去ですが、これによって現代の欧米人も体が大きいと言う事ができます。


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