低身長症の基準と成長曲線について考える

何らかの原因によって標準よりも身長が低くなってしまう事を「低身長症」と言います。「症」と付いている通り、その原因によっては病気の一つです。この低身長症には実はそのように標準となる数値があり、それよりも明らかに身長が低い場合、病院で治療を受ける事ができます。この事実はあまり知られておらず、親は早期に気づき、治療を行う必要があります。ここではその基準やそれを知る事ができる成長曲線について私なりに考えた事を書いてみます。長文となっていますが、ご興味のある方は下記「続きを読む」よりどうぞ。

★当記事の目次

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低身長症の基準と標準偏差について

低身長症はその基準を満たす事ができれば治療を受ける事ができます。また仮に基準を満たしていなくても、病院によっては治療を受ける事ができる場合があります。しかしその事実を知らない親も多く、例え低身長症でも、そのまま放置されるケースがあるようです。特に日本人を含むアジア人は全体的に小柄であり、親や本人が気にしない場合もあるために、意外と見逃されがちです。自分の子を注意深く観察しましょう。

低身長症の基準ですが、具体的には『同性かつ同年齢の身長と比べて「-2SDより低い」場合、またはそれに近い身長で、早期に治療が必要な場合』に治療を受ける事ができます。この「SD」とは統計で使われる「標準偏差」と呼ばれるもので、「標準と比べてどれだけバラつきがあるか」を意味しています。すなわちこの「SD」が大きいほど「標準(平均身長を中心に上下の範囲の事)から外れる」という事なので、「-2SD以下」となると、かなり身長が低い部類に入ります。

全体で考えると、約95.4%の人が「-2SDから+2SD」で標準の範囲内に入りますが、残りの約2.3%が「+2SD以上」で標準よりも高い身長、更に残る約2.3%の人が「-2SD以下」で標準よりも低い身長に入ります。すなわち全体の約2.3%は「-2SD以下の身長」であり、治療を受けられる可能性が高いという事になります。これを把握する事は子育てをする上で非常に重要な事です。

尚、低身長で治療が必要な可能性のある人は、そのように全体では約2.3%しかいないとされていますが、その内の約10%(2.3%の中の10%)は「成長ホルモンの分泌異常が原因によるもの」と言われています。それを踏まえると、例えば2013年の出生数は約103万人ですので、103万人の内の2.3%、すなわち「約23700人が-2SD以下」で低身長症の治療が必要となる可能性がある人、更にその23700人の内の10%、すなわち「約2370人」は「低身長の治療が確実に必要な人」という事になります。

ただし23700人の中には「成長過程で自然に改善される場合もある」ため、実際には年齢が進むにつれ、低身長の治療が必要な人の割合というのはどんどん小さくなっていきます。このため23700人全て、及び2370人全てで「治療が必要」という訳ではありません。しかしながら「毎年2千人以上の子どもに対し、治療が必要な可能性がある」という事ですから、数字だけを見れば、現状として治療が必要な人というのは意外に多いという印象があります。自分の子どもが、毎年生まれる2千人程度の中に入る可能性は十分あり得る事であり、あらゆる事を想定しておくべきだと思います。

特に低身長症の治療というのは「早期に行なうほど効果があり、身長の伸びが止まってしまった大人では治療する事が困難」です。そのため、できるだけ早期に両親が気付き、早期に治療を受けさせてあげる必要があります。子どもは「これから大きくなるよ」と言っている内に年齢が進んでおり、気付いた時にはもう遅いなんて事もありがちです。親には子どもの人生を左右する大きな責任があり、それを十分に理解した上で子育てをしていくべきではないでしょうか・・・まぁ私が他所の家庭に対してとやかく言う権利はないですが、この事を考えれば、例えば「勢いでのデキ婚」など絶対にあり得ない事だと思います。子どもを育てる準備をしてからでしょう。



平均身長と−2SD以下の身長を把握する

下記の表は平均身長と−2SD以下の身長を分かりやすく記したものです。まずはこの表を少しだけ分析してみましょう。

空白 男性 女性
年齢平均身長−2SD以下平均身長−2SD以下
0歳0ヶ月49.0(cm)44.7(cm)48.4(cm)44.2(cm)
0歳1ヶ月53.549.152.648.4
0歳2ヶ月57.953.456.752.4
0歳3ヶ月61.456.960.055.6
0歳4ヶ月64.259.662.658.2
0歳5ヶ月66.261.664.660.1
0歳6ヶ月67.863.166.261.6
0歳7ヶ月69.264.467.562.9
0歳8ヶ月70.565.668.964.1
0歳9ヶ月71.766.770.065.2
0歳10ヶ月72.867.871.266.3
0歳11ヶ月73.968.872.367.4
1歳75.069.873.468.4
2歳85.479.484.378.4
3歳93.386.492.285.5
4歳100.292.599.591.9
5歳106.798.1106.297.7
6歳113.3103.8112.7103.4
7歳119.6109.4118.8108.8
8歳125.3114.7124.6113.8
9歳130.9119.7130.5118.7
10歳136.4124.6136.9123.9
11歳142.2129.0143.7130.3
12歳149.1133.9149.6137.0
13歳156.5140.7153.6142.2
14歳162.8148.6156.0145.2
15歳167.1154.7157.1146.5
16歳169.4157.8157.5147.1
17歳170.8159.2158.1147.5

ご覧いただければ分かると思いますが、最初の生後3年ほどの間、非常に勢い良く身長が伸びていると思います。まずこの時期に「どれだけ身長を伸ばす事ができるか」という事が、後々の身長に大きく関係してきます。特に初期は母乳で成長していくため、「母親の体調が万全であり、母乳に十分な栄養が含まれている」という事が極めて重要になります。もちろん睡眠も重要です(呼吸、鼻通り、寝返り、睡眠環境、睡眠時間)。

また母乳→離乳食→通常の食事というスムーズな移行も重要です。更にその時期はちょうど歩行ができるようになる時期でもあり、食事だけでなく、運動や睡眠も重要になってきます。子どもの身長を高くしたいのであれば、生まれてすぐから対策をしなければならないでしょう。尚、「生まれた時点での身長」も極めて重要です。すなわち生まれる前(子どもがお腹の中にいる間、妊娠する前)から、極端に言えば、妊娠する前(男性と女性の体調・生活習慣・環境)から、既に子どもが大きく育つような対策をしておくべきでしょう。

そしてそこからしばらく経つと、男性は13歳頃、女性は12歳頃で身長の伸びがピークを迎えており、その前後では男性も女性も思春期を迎えています。この思春期を迎える時期というのは人によって差はありますが、実は思春期中に伸びる身長というのはそれほど個人差がないと言われています。急に20cm以上伸びるなど例外はありますが、それはかなり稀な例と思われます。また思春期を過ぎると、その後は急激に身長の伸びが悪くなっており、いずれは全く伸びなくなります。

このため身長を伸ばすためには「思春期を迎える前までに、どれだけ身長を伸ばす事ができるか」という事が非常に重要になってきます。それこそが「できるだけ早い時期からの規則正しい生活習慣の積み重ね(メラトニンの分泌により、思春期を早期に迎える事を抑え、緩やかに迎える事ができ、身長が伸びる期間を延長する事ができる)」です。当ブログでは何度も言っていますが、この表を見るとその事もよく分かります。



実際に成長曲線を作ってみよう

「成長曲線」とは、「平均身長」と「-2SD以下の身長」をグラフ化し、現在の身長が「平均身長や低身長症の基準」と比べてどの位置にあるのかを見やすくしたものです。これは誰でも簡単に作る事ができるので、試しに作ってみましょう。

まずは適当な紙を用意し、紙の左側に、大文字の「L(エル)」になるようにして縦と横に直線を書きます。横に引っ張った線は右へ真っ直ぐに伸ばし、また縦に書いた線を上に真っ直ぐ伸ばしておきましょう。ただし横と縦の線がちょうど交わる点よりも左や下には線を伸ばしません。

続いて一番下にある横線の「下」に、0歳(縦と横の線が交わる場所の下) 1歳 2歳 3歳・・・(データがあるのであれば20歳まで。可能ならば0〜1歳までの12ヶ月は1ヶ月おきに刻んでおく)というように、隣同士の間隔が均等(1cm程度)に離れるよう、左から順番に「年齡」を書いていきます。それを書いたら、書いた年齢のちょうど上になるよう真っ直ぐ線を伸ばしておきます。つまり一番左にある縦線と平行に何本も線を引く訳です。ただし一番下にある横線より下には伸ばさないようにします。

そして今度は一番左にある縦線の左側に、30cm 40cm 50cm・・・というように、上下の間隔が均等になるよう、下から順番に身長を書いていきます。書き込む身長は「伸ばす目標(190cmなど)」まで刻んでおくと良いでしょう。それが書けたら、書いた身長のちょうど横になるよう真っ直ぐ線を伸ばしておきます。つまり一番下にある横線と平行に何本も線を引く訳です。ただし一番左にある縦線よりも左には伸ばしません。


これでとりあえず表ができました。できた表にまず「平均身長(前述した表を参考に)」を書き込みます。例えば「男性6歳」の時の平均身長は前述の表の通り「113.3cm」となっているので、それを今作った表に書き込んでグラフ化します。

書き込み方としては、まず一番下にある「6歳」の場所を確認し、そこに右手の人差指を当てておきます。続いて今度は一番左にある「110cm」の場所を確認し、そこに左手の人差し指を当てておきます。そして下に置いた指を真っ直ぐ上へスライド、また横に置いた指を真っ直ぐ横へスライドさせ、ちょうど交わる点を探します。その点に片手の人差し指だけを当て、もう片方の手にはペンを持ちます。113.3cmは110cmよりも少しだけ大きいので、110cmの横線よりも少しだけ上になるよう、当てておいた人差し指をスライドさせます。そこにペンで丸印をつけます。可能ならばその丸印の近く、分かりやすい位置に「113.3cm」と書いておくと良いでしょう。

それと同じようにして各年齢の平均身長を全て確認し、丸印をつけ、その丸い印の近く、分かりやすい位置に平均身長の値を書きましょう。そして全ての丸印を書き込んだら、隣り合う丸印同士を直線で結び、全ての丸印を線で結びます。こうすれば平均身長のグラフが完成します。

更に同じようにして「-2SDの身長」の値も書き込んでみましょう。完成すると「平均身長」と「低身長症の可能性がある身長」を見た目ですぐに確認する事ができるグラフになります。この状態で何枚か紙をコピーしておくと、二人目三人目と子どもを育てる際にも使う事ができます。尚、自分で作るのが難しい場合、次の例を参考にして下さい。


<平均身長と-2SD以下となる身長を記したグラフ(画像)>

seicho.JPG

※前述の平均身長の値と-2SDの値を記した表では、0〜1歳の間を1ヶ月刻みにしていますが、このグラフはあくまで一例なので、省略しています。ご了承下さい。実際にグラフを作る際には、0〜1歳の間だけは1ヶ月刻みにした方が良いでしょう。

このような感じで元となる表ができたら、最後に実際の子どもの身長の値を書き込みます。これまでと同じように丸印をつけ、その丸印の近くに身長の値をメモし、その丸印同士を直線で結びます。実際に書き込んでみると「平均身長や-2SD以下の身長と比べて、今の身長がどの位置にあるのか」という事を見た目ですぐに確認する事ができます。何度も言うように低身長の治療は早いほど効果が高く、遅いと治療が難しくなってしまいます。早期に治療を受けるための参考にしていただければ幸いです。

尚、書くのが面倒ならエクセルで作っても良いと思います。



低身長の基準が分かると健康や美に対する考え方も変わる

成長曲線の表を作る事によって「低身長の治療を受ける事ができる基準」を把握する事ができると、例えばメディアでよく顔を見るような芸能人の中には、明らかに「-2SD以下」と思われる低身長の人がたくさんいるという事が気付かされます。特に最近の女性「アイドル」とされているような人たちに、そのような傾向が見られると思います。そのような人たちは遺伝的な理由は除き、生活習慣の積み重ねなど後天的な理由によって低身長になった可能性があり、それは健康や美に対する考え方が偏っている証拠とも言えるはずです。

そのような人たちには大きな発信力があり、メディア「健康」や「美」について語り、それを見ているファンが真似をする・・・という事がよくあると思います。憧れの人の真似をするという気持ちは分からないでもありません。しかしこちらが正しい知識をつけていくと、メディアで聞く「美や健康に対する考え方が偏っている」という事に気付く事ができ、「何が健康で何が美しいのか」という事を自分の意思で判断する事ができるようになります。

すると自分の頭の中に入ってくる情報、あるいは入ってきた後、定着する情報と定着しない情報というのも大きく変わってきます。何故なら、そのように自分の意志で情報を取捨選択できるようになるため、取捨選択するためのフィルターが鍛錬されるからです。またそれによっては「自分の目標」とする人や事も大きく変わります。それによっては「健康や美に対する考え方が間違っている人たちが、世の中には大勢いる」という現状に気付かされ、その事に危機感を抱くようにもなるはずです。それは今まで自分が当たり前だと思っていた知識や考え方などを改めるための大きなきっかけになると思います。

「当たり前」とされている事を毎日続ける事はとても大変な事です。しかし当たり前とされてきた事の中には、実際には間違っている事もあり、せっかく大きな労力を費やして積み重ねてきても、それがもし間違っていたらただの骨折り損ではないでしょうか。当たり前とされている事をそのまま受け入れるのではなく、あらゆる事に対して疑問を持ち、自分の意志で判断した事を実行し、それを続ける事、それこそが身長を伸ばすためには重要なのです。日本人にはその意識が欠けているのではないかと私は思います。



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