「筋肉の収縮様式」について

ここでは「筋肉の収縮様式」について説明します。かなりの長文ですがご興味のある方は下記「続きを読む」よりどうぞ。尚、この記事で説明する筋肉の収縮様式は以下の通りです。

●アイソメトリック・コントラクション(等尺性収縮)
●アイソトニック・コントラクション(等張性収縮)
 ・コンセントリック・コントラクション(短縮性収縮)
 ・エキセントリック・コントラクション(伸長性収縮)
●アイソキネティック・コントラクション(等速性収縮)

筋肉4.jpg

★「アイソメトリック・コントラクション(等尺性収縮)」について

例えば自分の力で動かせないような大きな壁を両手で前へ押そうとします。この時当然壁は動きませんが、前へ押そうとしているので、腕の筋肉は収縮しています。そのように曲げたり伸ばしたりという動作がなく、「骨や関節に動きはないが、筋肉は力を発揮している状態」の事をアイソメトリックと言います。

通常のトレーニングではダンベルやバーベルなどを使って筋肉を曲げ伸ばしさせ、骨や関節を動かしながら負荷を与えます。そのため「重りを使って筋トレをしないと筋肉は鍛えられない」ように思っていますが、決してそうではありません。アイソメトリックでは自分の力加減によって負荷の大きさを変える事ができ、例え関節に動きがなくても筋肉に刺激を与える事ができるのです。特にこのアイソメトリックを使ったトレーニングでは「自分の体と時間さえあれば場所を選ばない」という大きなメリットがあります。

例えばアイソメトリックを利用したトレーニングでは、「胸の前に手を合わせ自分の手同士で押し合う、引き合う」「椅子に座った状態で腿を椅子から浮かせて何秒か静止する」「腹筋の動作において45度ぐらいの角度で何秒かキープ」「何秒か空気椅子(爪先より膝が出ないように注意)を行う」などがあります。また前述の壁のように「固定された物(壁や床など)」があれば、それも筋肉を鍛える道具にする事ができます。工夫次第で様々な筋肉、様々なトレーニング法を考える事ができるのです。

一方、デメリットとしてはアイソメトリックは自分の力加減によって負荷が変わるため、「自分の筋力や体重以上の負荷は与えられない」という事になります。つまりいずれトレーニング成果が頭打ちになってしまいますので、他の収縮方法を利用したトレーニングと並行して行う必要があります。もちろん皆が「筋肉を大きくしたい」訳ではないので、「自分の体型を維持する」「筋肉に刺激を与える」という目的であればアイソメトリックを利用したトレーニングも有用です。


★「アイソトニック・コントラクション(等張性収縮)」について

似ていてややこしいですが、今度説明するのは「アイソメトリック」ではなく「アイソトニック」です。このアイソトニックはアイソ「メ」トリックとは違って骨や関節に動きがあり、与えられた負荷に対して釣り合うように筋肉が伸び縮みします。

簡単に説明すると、例えば肘を伸ばした状態から力コブを作ってみて下さい。最初の肘を伸ばした状態では腕の筋肉(上腕二頭筋)は伸ばされて長くなっていますが、そこから肘を曲げていくと腕の筋肉(上腕二頭筋)が縮み、盛り上がって力コブができます。すなわち肘を伸ばした状態と肘を曲げた状態とでは、「上腕二頭筋が縮んだり伸ばされたりして長さが変わっている」という事です。この収縮の事をアイソトニックと言います。尚、このアイソトニックは「コンセントリック・コントラクション(短縮性収縮)」と「エキセントリック・コントラクション(伸張性収縮)」の二つに分けられます。


●「コンセントリック・コントラクション(短縮性収縮)」について

「コンセントリック」は上記の「腕を伸ばした状態から力コブを作る」時のように、「筋肉が縮む時に力を発揮する事」を言います。例えば手にダンベルを持って力コブを作ろうとすれば、ダンベルを持ち上げていく際に腕の上腕二頭筋が収縮します。この時の上腕二頭筋は筋肉が縮みながら力を発揮しており、この収縮の事をコンセントリックです。筋トレなど何かを持ち上げる際に行われるため、日常的に起こる基本的な収縮と言えるでしょう。

●「エキセントリック・コントラクション(伸張性収縮)」について

一方、「エキセントリック」は「筋肉が伸ばされる時に力を発揮する事」を言います。しかしこの収縮を行うためには少し特殊な条件が必要で、単純に力コブを作った状態から腕を伸ばしてもそれはエキセントリックにはなりません。

例えば右の腕で力コブを作り、左手で右手首をがっちりと掴んで下さい。その状態から左手で「右肘を伸ばす」ように力を加え、力コブを作っている右腕はその左手の力に抵抗するようにして下さい。力を調節して右手と左手の力がつり合ったら、今度は「左手の力にギリギリ負ける」ように右腕の力を弱めていき、左手によって少しずつ右肘を伸ばされるようにして下さい。そして右腕はそのまま最後まで伸ばされてみて下さい。これを行った時には左手によって右の上腕二頭筋が伸ばされていくのですが、伸ばされていくにも関わらず上腕二頭筋が収縮して力を発揮しています。すなわち「筋肉が伸ばされながら収縮して力を発揮している」という状態になっており、実はこれがエキセントリックなのです。

このエキセントリックはコンセントリックよりも筋肉に対して大きな負荷がかかります。何故なら筋肉が収縮している状態から別の力によって無理やり伸ばされるからです。ですので実は怪我をしやすく、筋肉が「肉離れ」をする時の多くがこのエキセントリックの時に起こると言われています。想像してみて下さい。全力で力を入れている筋肉がいきなり強い力で引き伸ばされたらどうなるのかを。おそらくその筋肉は縦や横に激しく切れてしまうでしょう。

もちろんそのような大きな怪我にはならなくても、エキセントリックは筋肉の損傷が起こりやすく、筋肉痛にもなりやすいと言われています。エキセントリックを利用してトレーニング行う際には十分な注意が必要です。しかし逆に言えばエキセントリックを意識したトレーニングを行う事で、そのような怪我を予防する事が可能という事であり、また筋肉に対して大きなダメージを与える事ができるため、筋肉を大きくするため、あるいはそのような怪我の予防には比較的有用です。


★「アイソキネティック・コントラクション(等速性収縮)」について

前述のように負荷が一定の収縮や伸展がアイソトニックです。アイソキネティックはそれに加えて「筋肉の収縮及び伸展を行う際の速度が常に一定なもの」を言います。つまり同じスピードで収縮や伸展を繰り返す事になるのです。尚、ここからはできるだけ文字だけで説明していきます。文面だけではかなり無理があるので分かりづらかったら申し訳ないです。

例えばここに一定の速度で上下動するバーベルがあるとします。そのバーベルを手で掴んで首の後ろへ乗せ、自分は常にバーベルを上に持ち上げようとしてみます。通常のスクワットではしゃがんだ状態から上へ持ち上げる際に腿前(大腿四頭筋)の筋力を使いますが、この動くバーベルの場合は一定の速度で動いていますから、下へ上へ力を入れる際にも上へ力を入れる時にも常に腿前に対して負荷がかかります。つまりバーベルが下へ移動する際には腿前の筋肉に対して「エキセントリック」が起こり、反対にバーベルが上へ移動する時には通常のスクワットと同じように腿前の筋肉に「コンセントリック」が起こります。

このようにバーベルが同じ速度で上下に移動していてそれを常に持ち上げようとすると、腿前の筋肉に対して「エキセントリック」「コンセントリック」が起こり、それが常に一定のスピードで繰り返される事になります。また速度自体は一定ですが、自分の力加減(バーベルよりも速く動かそうとする)で負荷の大きさを変える事もできます。少し難しいのですが、実はこれがアイソキネティックの特徴です。

またそれとは逆に、上下動するバーベルを「常に下げようと力を入れる」と、今度はバーベルが下へ移動する際に腿裏(ハムストリングス)に対して「コンセントリック」が起こり、逆にバーベルが上へ移動する時には腿裏に対して「エキセントリック」が起こります。アイソキネティックではこのように、力を加える方向を逆にするだけで違う筋肉を鍛える事もできるのです。

更に今度はバーベルの上下動に合わせて、バーベルが下へ移動する時には下へ引くようにし、バーベルが上へ移動する時には上へ持ち上げるようにしてみます。つまり上下で力の加える方向を変えるという事です。するとバーベルが下へ移動する時には腿裏でコンセントリックが起こり、バーベルが上へ移動する時には腿前でやはりコンセントリックが起こります。すなわち「エキセントリックを起こさずコンセントリックのみを起こさせる」事ができるのです。

また今度は、バーベルが下へ移動する時には上へ持ち上げようとし、バーベルが上へ移動する時には下へ引こうとします。するとバーベルが下へ移動する時に腿前にエキセントリックが起こり、バーベルが上へ移動する時にも腿裏にエキセントリックが起こります。すなわち「コンセントリックを起こさず常にエキセントリックを起こさせる」事ができます。このように上下で力の入れ方を逆にすると、筋肉に対して常に同じ収縮を起こさせる事もできます。これもアイソキネティックの特徴です。

尚、例えばランニングや腹筋動作などの筋トレのように「自分の体だけを使って同じ動作を同じ速度で繰り返す」のも意識的にはアイソキネティックと言えます。その他ではジャンプ運動をその場で繰り返すドロップジャンプや縄跳びなども同じですね。ただしその動作を行う時間が長くなったり、動作の回数を重ねるにつれてその動作のスピードは遅くなっていくので、厳密に言えばアイソキネティックではありません。正確なアイソキネティックを起こさせるためには、基本的に「同じ速度で動くような機械」が必要になります。

ちなみに筋肉を勢い良く伸ばした時、筋肉は反射的に縮もうとしています。これを「伸張反射」言いますが、それを利用したトレーニングの事を時に「プライオメトリクストレーニング」と言います。例えばジャンプを行う際には膝を一度曲げてから膝を伸ばしますよね。この「膝を曲げる」という際には太ももの筋肉が伸ばされている訳ですが、それを勢い良く行う事で伸ばされた後に筋肉が縮む動作をより素早く行う事ができます。すなわちその伸ばす→縮むという連動が上手く行けばジャンプ力が上がりますし、より少ない力で高く飛ぶ事ができるので、勢いをつけずに咄嗟に高く飛ぶというような場面でも高くジャンプする事ができるようになります。


★最後にヒトコトだけ

何故今回「筋肉の収縮様式」を説明したのかというと、一口に「運動をする」と言っても、様々な種類の運動があるという事を知って頂きたかったからです。身長を伸ばすためには多種多様な運動が必要であり、単純な同じ動作を繰り返すだけの運動ではいずれ体が慣れてしまいます。今まで使った事がないような筋肉に刺激を与え、またその筋肉の収縮の仕方を変える事で、脳や体に新しい刺激を与えるようにしましょう。そのためにはこの記事にあるような「筋肉の使い方」を覚える事も重要なのです。


<お知らせ>
当ブログが電子書籍になりました!
ご興味のある方は「電子書籍について」からどうぞ!!

↓当ブログを応援して下さる方は1日1回で構わないのでクリックをお願い致します↓
インフォブログFC2ブログランキング人気ブログランキングブログ王ブログランキングならblogramにほんブログ村