適度な運動を行って身長を伸ばそう

成長期の子どもの骨には「骨端線」と呼ばれる軟骨組織があります。その骨端線へ刺激が与えられた時、骨端線付近に存在する骨を作る細胞が活発に働きます。それによって新しい骨を作る事を促し、身長を効率良く伸ばす事ができるのです。ですので身長を伸ばすためには運動を行って骨へ刺激を与える事が重要になります。

ただしその骨への刺激は骨にとって常に「適度な刺激」である必要があります。この記事では何故「適度な刺激」でなければならないのか?について私なりに説明しています。ご興味のある方は下記「続きを読む」よりどうぞ。

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骨端線に対して適度な刺激を与える事が重要

繰り返しになりますが、成長期の子どもの骨には「骨端線(成長線)」と呼ばれるものがあります。この骨端線は骨の両端付近に存在しており、通常の骨とは違って弾力性に富んでいる「軟骨組織」です。例えば通常の骨はレントゲンで撮影すると白く映りますが、骨端線は軟骨なので白く映る事はありません。実際に骨端線付近をレントゲン撮影をすると半透明、もしくは背景に同化して黒く透明に映るという特徴があります。

骨4.jpgそんな骨端線付近にはたくさんの骨を作る細胞が存在しています。それが「破骨細胞」と「骨芽細胞」です。簡単に言うと破骨細胞は古くなった骨を壊す細胞、骨芽細胞は新しい骨を作る細胞の事で、成長ホルモンが分泌されるとその影響でこの細胞が活発になり身長が伸びていきます。また前述した通り、骨端線は軟骨組織で弾力性に飛んでおり、刺激に対して敏感に反応します。すなわち運動によって骨端線に刺激が与えられると骨を作る細胞の活動が促されるため、身長の伸びを更に加速させる事ができるのです。これが「運動をすると身長が伸びる」と言われる大きな理由になっています。

人間のあらゆる細胞は古くなったら壊され、常に新しい細胞へと作り変えられています。それがなければ例えば転んだ時にできた擦り傷も自然には治りませんよね。膝を擦り剥いても時間が経てば綺麗に治るのは、その部分の傷ついた細胞を新しく作り変えているからなのです。骨もそれと同じように、ある程度の負荷がかかって骨が傷つくと破骨細胞がそれを壊し、その壊した部分を埋めるようにして骨芽細胞が新しい骨を作ります。大人ではこの「古い骨を壊して新しい骨を作る」というサイクルのバランスを保つ事で骨は健康を保っているのですが、成長期においては破骨細胞よりも骨芽細胞の方が活発に働き、それによって新しい骨を作る働きの方が上回ります。ですから身長を伸ばす事ができるのです。

これは人間の持つ「環境に対する適応力」そのものと言えます。例えば激しい運動を続けていると、次第にその激しい運動に耐える事ができるような体に変化していきます。何故ならそうしなければその激しい運動に耐えられず、いずれ体が壊れてしまうからです。体が壊れるのを防ぐために骨や筋肉などを丈夫にしてその運動に適応しようとするんですね。ですので激しい運動を行えば行うほど筋肉は太く大きくなりますし、骨も硬く太くなっていきます。この事から「何故骨への刺激が適度でなければならないか」という事を考えれば、単純に「身長が伸びきる前に骨が硬く、そして太くなってしまう」からです。身長を伸ばしたいからと言っていきなり激しい運動を行なうと、身長は逆に伸びにくくなってしまうという事です。


骨端線は壊れる事がある

特に注意すべきなのは成長線は「軟骨組織」だという事です。軟骨組織は通常の硬い骨と比べると柔らかくて弾力性がありますが、運動の激しさによってはその衝撃に耐え切れず壊れてしまう事があります。ただし軽い運動であっても「同じ動作を繰り返し行う」という事では、骨端線付近に疲労やストレスが集中すれば壊れてしまう事があります。骨端線は非常にデリケートなものなのです。参考記事→骨端線について

野球肘.png見逃す事が多いのですが、成長期の子どもが骨折をした際、通常の硬い骨よりも脆い骨端線の部分から骨が折れる事があります。そうして骨端線が壊れると新しい骨を正常に作り出す事ができなくなり、身長の伸びにも悪影響を及ぼす可能性があるのです。また珍しいケースでは「壊れた部分では骨が正常に作られず、壊れていない部分では正常に骨が作られる」という事が起こる事もあります。その場合、成長過程において骨が曲がって伸びてしまう事があり、そうなると症状によっては手術しなければならない事もあります。

身長を伸ばすために運動を行うのはもちろん効果的ですが、「身長を伸ばしたい」という一心でただ闇雲に激しい運動を行えば良い訳ではありません。何事もやり過ぎは逆効果になります。身長を伸ばすためにはいきなり激しい運動をするのではなく、長期的かつ計画的に運動習慣を考える必要があります。具体的に言えば「少しずつ骨への刺激が増えるよう、運動の強度を上げていく」という事です。最初は軽い運動から始め、思春期前後にちょうど激しい運動を行う事ができるのが理想的です。


運動の強度を少しずつ上げていくには?

よくあるのが、自分の子どもの体を大きくするために運動をさせようと「スポーツクラブに入れる事」です。確かにスポーツクラブに所属する事では運動の機会は格段に増えるでしょうが、前述した通り、激しい運動をいきなり行うとその激しい運動に対して体が早々に慣れてしまうため、身長の伸びには逆効果になります。もちろん例え激しい運動であっても睡眠、栄養、ストレスコントロールなどが確保できていればそれに越した事はないのですが、体が小さい子では「運動をしているのに身長が伸びない(気合や根性が足りないのではなく、運動量と比べて食事量や睡眠量などが全く追いついていない)」という事にもなりかねません。

例えば野球で言えば「単にボールを拾って返すだけのボール拾い」と「全力ダッシュを数十本」では後者の方が確実に運動の強度(激しさ)は高いですよね。運動をするからといっていきなり後者の全力での運動から行いがちなのですが、そうではなく「運動の強度を少しずつ上げていく」ようにします。それが身長を伸ばすためには重要になります。

最初は体慣らしの運動やストレッチなどから始め、徐々にボール拾いやキャッチボールをするようにし、そこからダッシュやベースランニングなどをしていって、最終的に全身運動、全力での運動に行き着くようにします。そうする事では体だけでなく脳にとっても良い刺激になり、スポーツに関する技術を段階を追って覚える事ができますね。自分のペースで運動をする事ができるので何かに追われてスポーツ自体が嫌いになるという事も少なくなると思います。もちろん「身長を伸ばす」という点で言えば、素振りやバッティング練習などの「その場でほぼ動かずに行う運動」は骨への刺激は弱いので、後々ジャンプ運動のように全身を使う運動を個人でも行うようにすると良いでしょう。

もし今後、自分の子どもをどこかのクラブチームに入れる予定があるのであれば、いきなりクラブチームに入れさせるのではなく、その前々から少しずつ運動の強度を上げていくようにしましょう。でないとクラブチームに入った際にいきなり自分の体に合わない激しい運動をさせられる事になり、そこでたまたま「短期的にはその運動を耐えきる体力があった」場合、体が急激にその激しい運動に適応しようとします。そして一度その激しい運動に体が慣れると、それよりも激しい運動でなければ「適度な刺激」にならなくなってしまうでしょう。日本人は「才能がない」とか「気合が足りない」と言って無理やりにでも続けさせようとする事が多いのでその点はよく注意すべきです。またクラブチームに入るとどうしても一つのスポーツに専念してしまうと思いますが、野球だけでなくバスケットボールやサッカーなど他のスポーツも行うようにした方が身長の伸びには良い影響を与えます。何故なら様々な運動を行う方が脳や体にとって良い刺激になるからです。一つの種目に絞るのではなく日々新しい事に挑戦しましょう。


身長の伸びが止まるまで運動を続けるためには?

ストレッチ2.jpg更に、身長を伸ばすためにはそのような運動習慣を少なくとも「身長の伸びが終わるまで」続ける必要があります。これは10年以上という非常に長い期間になるのでピンと来ないかもしれませんが、「運動」という言葉に対する考え方を変えれば意外に続ける事は難しくありません。例えば野球もサッカーもバレーもバスケも「体を動かす事=運動」であるように、鬼ごっこ、ドロケイ、縄跳び、一輪車、ドッジボールなども運動の一員です。もちろんストレッチだってラジオ体操だって筋肉を解すための立派な運動です。参考記事→骨へ新鮮な刺激を与える

一つの種目の中で運動の強度を上げていくのは中々そのスポーツを知らないと難しいですが、このように色んな体を動かす事を「運動」と考えれば選ぶ事のできる運動はたくさんあります。それに、最初は親や兄弟と、その後は友達同士で、更にその後は選手同士で、というように長期間であれば一緒に行う相手も変わっていくはずなので、同じ種目でも楽しみ方やプレイの仕方は変わっていくと思います。誰かと一緒に楽しめば意識などせずとも運動は続ける事ができますし、身長も自然と伸びていくでしょう。


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